面白ブックレビュー

 
ナージャの村
本橋成一 平凡社刊
 福島原発災害の今年はチェルノブイリ事故からもう25年が経過する。そのチェルノブイリ近くの放射能汚染区域に今もなお生活する人たちがいる。それも村ごとで。そんな人々の生活を克明に追った写真集である。見捨てられた地での1日1日がかけがえもなく美しく、透明な光を放つ。そんな人々の発する言葉が重い。
 「人々はパンを食べる。わたしたちは放射能を食べる。国は遠くに去っていった。わたしたちはこの地に、踏みとどまっている。わたしはいう。天国はいらない、故郷を与えよ、と」
 ロシア人のずぶとさには舌を巻くが、そんな彼らも故郷に対する思いは日本人と変わらない。
(博)


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