面白ブックレビュー

 
「ツバルの夕暮れ」
正木 明  青幻社
 地震、津波、原発事故と続いた3.11は私たちに小松左京のSF小説「日本沈没」を思い出させた。実際、ところによっては今まであった土地が海に浸食されて無くなっている。7月末には当の著者が亡くなり、改めてこの小説が話題となった。
 世界には地球温暖化によって自分たちの住む島が水没しつつある国がある。ツバルという南太平洋上の小島がそうだが、れっきとした共和国だ。満潮時には道路や住居が海水に洗われる不気味。数百年後には完全に海に消えてしまう運命にある。先進国の発展によって被害をこうむるのはこんな小国なのだ。本書はそこに住む人々からの切実なメッセージである。
(博)


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