サイン屋稼業奮戦記

 Vol.110
NIPPONの底力を発信
     中部支部 (平野電工 平野雄二

平野雄二さん  NEOS誌面に出していただくのは今回で3度目になります。
  2000字もの枠を何とか埋めるべく前回、前々回分をNEOSネット版のバックナンバーからあわてて探して引っぱり出してみました。
2004年12月<腕自慢・ワザ自慢>
  10年前の当時は40歳。掲載写真も現在と違い、しわも少なくて若々しいこと!しわの数だけ人間としても成長できているのか、現在の自分に問うてみたいところです。
  「休日の過ごし方:夏や冬のまとまった休みには家族でキャンプです」と書いたのも懐かしい!今では2人の娘達も成人して、それぞれに忙しく毎日の食卓に家族全員が揃う事さえ稀なこととなっています。やっと休みがとれると<ゴルフ練習会>と称して、同業2代目数人でいそいそと集合します。練習の成果が眼に見える形(=スコア)で現れて来ないのは私だけですが…
  2010年8月<うちの会社>でも書かせていただきましたが、当社は名古屋市瑞穂区にて昭和47年に父が有限会社として創立し、ネオン工事をメインとした電気工事会社からスタートしました。津島市(愛知県西部・西尾張とよばれ、名古屋駅への距離と同じぐらい岐阜や三重の県境に近い場所です)に会社を移してから25年目となる昨年夏に、更なる発展への願いを込めて株式会社へと変更しました。
  私は大学を出て一年間は別の仕事をしていましたが、この仕事に就くことを決め円満退社。働きながら夜間の専門学校に通って、電気工事士の資格を取りました。人生で一番といえる程、真剣に勉強に取り組んだ1年間となりました。父や先輩と現場に出ては、その手元を見ながら私なりに研究し技術や仕事の進め方を身につけようと努力する毎日でした。
  容赦ない時代の変化の波に当社ももまれてまいりました。父の代は高度成長〜バブル崩壊期、今なお経理事務を一手に担う母から景気の良い話と苦労話両方をよく聞かされます。
  メインだったネオン工事が省エネ=エコ志向の影響なのか、日々減少して行きました。
  原寸原稿を床いっぱいに広げ、繋ぎ合わせ切図を書きトランスの数量を出したり、大きな木箱に何百本ものネオン管を割れないように木屑とともに入れ、いくつも運搬してもらったあの頃の風景。ガラスなのですから時々運悪く割れてしまう管がありました、大急ぎで作り直してもらい引きとりに車を走らせたことも懐かしく思い出されます。
  製作をお願いしていたネオン曲げ屋さんも廃業が相次ぎました。
  街を彩る大型のあかりは確実にネオンからLEDへと変遷していき、ネオン独特の温かみのある光はずいぶん規模を縮小したものになりました。
  創立者である父が心臓の病気で体調を崩したのもそんな頃です。本格的に会社を引き継いで平成13年4月に社長を就任。すでに景気は低迷しており、今までのようなネオン工事主体のままでは、この先きびしい状況となると感じていました。取引先社長様方の助言を参考にしながら、2代目なりに知恵を絞って打開策を模索し続けました。
  そこで従来の電気工事に加えて取り組み始めたのが、看板製作から取り付けまでの作業です。
  きっかけは鉄骨加工やデザインのスキルを持つスタッフとの出会いや、中古のプロッターを入手したことで、ネオン用原寸原稿製作以外にフィルム加工が可能になったことからでしょうか。お客様より依頼される日々の現場全てが修行の場となり、誠にありがたいことに業務内容を広げる格好の機会を得ることができました。
  自身を含め7人の会社です。小さな会社だからこそ、社員全員が臨機応変に一人何役もこなします。このスタンスは変わりませんが、ある時思い切って広い工場へと移り、加工機械や工事車輌を少しずつ増やしたことで作業を一貫して引き受けられる現場が増えました。
  徹夜作業が続いたり、現場が重なって本当に体力的にきつい時も確かにあります。
  気が短い性質なので、いらだちから周りの人につい厳しい言葉を投げてしまっては後悔と反省の繰り返しですが、感謝の気持ちだけは忘れることのないよういつも心がけています。
  分かっているからです。先代の頃からのお客様・外注さん・社員にも支えてもらったからここまでやってこれたこと。
  現場へは専門技術を持つ外注さん達も加えて3、4人で組んで出かけますが、高所での危険作業も多いので安全面はもちろん、納期厳守のため段取り良く作業を進めるためのチームワークがとても大切です。
  ネオン協会に参加することで得たネットワークで視野を広げつつ、いただいた仕事にチャレンジしていきたいと思っていますので、これからもご指導よろしくお願いいたします。
  追記:私が誕生したのは前回の東京オリンピックの年です。昨年開催が決定した次の東京オリンピックにむけて大きな期待感を持っています。4月から段階的に始まる消費税増税の影響を払拭するようなオリンピック需要で景気が好転し、いろいろな場面でおおいにNIPPONの底力を世界へむけて発信できる五輪となることを心より祈っています。



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