ネオンストーリー

 
『78歳・いまだまんが道を…』
藤子不二雄A 中央公論社


 三十代が終わって四十歳になる一九七四年三月九日の前日には、園山俊二氏と「山手線一周飲み会」というのをやりました。あのころ、園山氏とすごく仲が良くて、彼もお酒が大好きでした。いつもは行きつけの店へ行って飲んで、そこに常連が加わってくるパターンでしたが、僕はわりと、高級なクラブじゃなくて、いわゆる居酒屋とか、バーが好きだった。
 夜、電車の窓から外を眺めていて、ネオンを見つけると、たまらなくてね。時々、途中で降りて、パッと店に入って飲んだりすることがありました。それで二人で、「よし、山手線一周飲み会をやろう」と始めたんです。新宿からスタートして、ひと駅ずつ降りて飲んで、何軒行ったかな。午後六時ごろから始めて、降りては店に入って、降りては入って。いや、とても一周はできませんでした。

 
 

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