青年部コーナー

 

「看板落下事故について」

  九州支部 高橋 勲


高橋  勲さん 九州支部青年部、月山ネオン株式会社の高橋勲と申します。
 このところ一部報道や本誌2015年春号でも取り沙汰されている、札幌市での看板落下事故について、少々書かせていただきます。
 この事故は、平成27年2月15日、札幌市中央区の飲食店が入った7階建てのビルより同飲食店の看板の一部が落下し、付近を歩いていた女性に当たり重体となったものです。
 このニュースを聞いたとき、第一に思ったことは「氷山の一角ではないか」という事です。
 昭和30年代から40年代の高度経済成長期以降、全国に多数の住宅、ビル、マンションが建設され、(諸説ありますが)鉄筋コンクリート建造物の耐用年数は40年から60年と言われており、今まさにその耐用年数を迎えようとしている建物が多く存在しています。
 看板についても、同様なことが言えると思われます。職業柄、繁華街などを通行する際、看板を眺めながら歩くことが多いのですが、古い看板も多く見られ、漠然と不安を感じることも少なくありません。誤解を恐れずに申し上げれば、すべての看板に今後同じ事が起こる可能性があると考えられます。
 事故後、各自治体でも問題視され、地域の看板の点検を徹底するよう指導が行われたことは、皆様もご存じのとおりですが、では「点検」とはいったいどういったものなのでしょうか。私自身、事故後数件の点検依頼がありましたが、特に古いもの、自社施工ではないもの、図面等がないものについて頭を悩ませることがありました。一般に点検というと、目視や打音検査があげられますが、高所である場合が多くそれなりの費用・時間がかかるものです。オーナー様もこのご時世でなるべく費用はかけたくないとの考えより、簡易な点検しかできていないのが現状ではないでしょうか。
乱暴な言い方をすれば、目視や打音検査でわかる事は限られていると思います。今日点検した看板が明日落下するような事が、実際に起きるかもしれません。
 それでは、このような悲しい事故を今後起こさないようにするためには、どうすればいいのでしょうか。解決には当然金銭が絡む問題ですので、消費者の皆様のご理解も必要であり、行政による「責任転嫁」ではない指導・指示の徹底も不可欠であると言えます。 
 また、業者による安全に対する提案やそれなりの費用をかけてもらう営業の仕方など、多方面での協力が必要であると思います。
 各支部青年部におかれましても同様の問題を抱えていることと思いますが、九州支部は特に年々催し物等の参加者数が減っており、いつも同じメンバー数人にての開催となることも少なくありませんが、こういった催しや総会等を最大限に利用してこのような事故に対してどうしていけばよいか、話し合う貴重な機会にしてほしいと思います。青年部だからこその見解や方針が見つかるかもしれません。
 本来、看板とは街のシンボルであり、商品・サービスを消費者に伝える広告であり、目にした人を楽しませるものでなければなりません。決して人の安全を脅かす存在にしないのが我々本業界に身を置くものにとっての責務だと考えます。


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