点滅希

 
 高齢化社会の行きつくところ 
    

 これからのキーワードは高齢化社会をどう切り抜けるかだろう。高齢者の医療費はこのところうなぎ上りに増加している。それが医療制度を圧迫し、若い人たちの負担となりつつある。車の事故は年々減少しているのに高齢者の事故だけは増える一方だ。
 100歳を迎えた人に贈られていた銀杯は昨年から銀メッキに変えられた。将来はそれも取りやめとなるだろう。100歳はもうめでたいことではなくなった。それどころか、高齢者が社会のお荷物にされる時代が到来したのだ。
 年をとっても元気に活躍している老人もいる。でも、国全体からすればほんの一握りに過ぎない。大部分の高齢老人は歩行も会話もままならず、ただ生きているだけの状態に過ぎない。老老介護がさまざまな問題を提起している。
 安楽死は日本ではあまり話題にされず、法制化も欧米に比べて遅れている。人間性の尊厳を否定することは悪としてタブー視されてきたからだ。でも、かつては我が国でも“婆捨て”は存在した。要は社会という集団の存続にかかっている。社会の存続に支障をきたすものは排除される。かつては善だったものが悪となり、悪だったものが善になる。それが真理なのではなかろうか。

(愚庵)

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