リポート

青年部「ミャンマー・タイ視察旅行」
関東甲信越北陸支部 小野利器
 
視察への想いが実現
 これからの看板業界を担う若者の中には、勉強のために海外を見て回りたいと思う方は多いのではないでしょうか。私もその欲求が強く、他の団体の視察旅行にはよく参加するのですが、その度に何かしらの学びが得られています。しかし当協会では14年前のラスベガスISAサインエキスポ視察旅行を最後に実施されておらず、今の若者にとっては非常にチャンスの少ない時代へと変わってしまいました。
 そこで今回、思い切って青年部で海外視察旅行を企画してみようということになり、昨年代表に就任した梅根拓也さんの力により実現しました。これは青年部発足以来15年目にして初の試みであります。
 結果的に大変充実した内容であり、9名の参加者全員の満足度は非常に高く、何をどのように報告すればいいか迷いますが、4泊5日の視察のほんの一部をご紹介させて頂きます。

なぜミャンマーなのか
 まず視察先をアジアに決めた理由は、単に団長である梅根さんの好みです(笑)。しかし日本から比較的近い国は短期間で視察できる点で忙しい我々には好都合であり、欧米よりも先に同じ文化圏を見るという点でよい選択でした。中でもミャンマーは「アジア最後のフロンティア」と称されるようにこれからの発展が期待される国です。参加者に旅慣れた者もいる中で、誰もミャンマーに行ったことがなかった点でも期待が膨らみました。そして目的の中心ではありませんが、遊ぶにも便利だなと…。

どんな会社を視察したのか
 今回我々は二か国で5か所の企業や団体を訪ねましたが、地元企業のほか、日本人が現地で起業した会社、日本企業の海外支店であったり生産工場であったり、はたまた政府開発援助機関JICAであったりと、様々なところでバラエティ豊かな方々に接し、当国のインフラとビジネス事情を深く知ることができました。全てはお伝えできませんが、特筆すべきは長田広告(株)ミャンマーと(株)technicalタイ工場で、現地では大変お世話になりました。
 長田広告さんは三年前にミャンマーへ進出し、郵便ポストやゴミ箱などを広告媒体として主に開発して事業展開されています。中央郵便局を見学したり、日本型の郵便ポストに広告板をセットしたものを製造している提携工場も見ることができました。しかしながら現実はゴミをゴミ箱に捨てるという習慣が国民に根付いておらず、郵便物は届かないのが当たり前という物流インフラの中で、大変ご苦労されている様子がうかがえました。
 また、大分県に本社を構えるtechnicalさんはチャンネル文字の制作をタイで行っています。日本とは常時オンラインでつながっていて、一体感のある環境で商品が生産されていました。タイ人は手先がとても器用だそうで、手作業でかなり細かい仕上げを丁寧に行っている姿がとても印象的でした。

何を感じ取ったのか
 私がミャンマーで一番驚いたことは街が汚いという点です。ゴミは散らかり、歩道は穴だらけ。道路、鉄道、上下水道、物流などのインフラ整備はまだまだ発展途上と言えます。また法律もあまり整備されておらず、巨大な屋外広告塔に対し建築基準法に基づいた申請手続きは存在しません。安全面は全て経験値と感覚勝負、役所の申請は袖の下が当たり前の世界!この点は日本人としてはなかなか許容できません。職人技術と材料品質も悪く、完成品は一年でガタが来ても安ければOKのレベルだそうです。物価は日本の1/10で労働力は安いとはいえ、ビジネスでの進出の厳しさを皆さん感じたはずです。
 次に訪れたタイも同じ感じですがミャンマーに比べたらかなり発展しています。日本企業も多く進出しています。安い労働力を求めてビジネス展開することは可能ですが、責任者はどっぷりタイに浸かる覚悟が要りそうです。その点technicalさんでは森元社長自らがタイ語をマスターし、現地スタッフを育てている様子が窺えて、我々にも大変心地よい刺激となりました。

まとめ
 やはり百聞は一見に如かず。ぼんやりとした両国のイメージが実際に見たり聞いたりすることでクリアになりました。ミャンマーの現状は少し厳しく紹介しましたが、良かった面も多く、これからの発展が楽しみです。
 私はこのような視察は商売になるかや損得ではなく、自分にとって世界を見るチャンスだと思っています。チャンスはそう多くは転がっていません。海外視察が今後青年部の定例企画となり、多くの方に同様の体験をして欲しいと思いました。

おまけ 夜の行動
 青年部ですから当然勉強だけではなく遊びも真剣に取り組みました。現地料理をつまみにして夜は毎晩小宴会です。その後はグループに分かれて深夜まで行動していました。
 お酒を飲む場も異国ならではの文化やサービスがあって楽しかったし、マッサージは格安だったので疲れた体を揉みほぐすのにちょうど良かったです。12時前にベッドに入った人はいなかったのではないでしょうか。
お陰で帰路の機内ではぐっすりでした。


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