サイン屋稼業奮戦記

 Vol.146
企業としてのブランディングとは?
    東北支部 東北エスピー(株) 山田 浩

山田  浩さん 今から11年前の2009年に一社員だった私が、なぜか社長になり10年以上皆様と共になんとかやってきました。おかげさまで今年は会社創業40周年となります。
 当時私が作った経営理念
 ・我が社は、美を創造し社会に貢献する。
 ・我が社は、従業員を活かし、真の幸せを創造する場として存在する。
 私が社長になったばかりの頃、地元でお世話になっている設計事務所の社長様より、「地元で新しく創業して30年以上継続している会社は、そう多くはない。それから5年、10年とまた継続できれば、地元のエリートと呼ばれる老舗企業に近づけるのだから、山田君頑張ってやりなさい」と言われ、会社の継続性というものの大切さを痛感しました。
 そして10年以上が経ち、お陰様で市役所や美術館など公共施設の仕事などの依頼も多くなり、地元でも看板業者として僅かではありますが、名前が通ってきた感はあります。
 そして最近特に私が大切にしていきたいと思っていることは、企業のブランド力です。
 ブランドというほどのものが、自社にあるのか?というと疑問なのですが、「ブランディング」、つまりその企業の社会的持続力を高めることやより価値の高いイメージ作りというものは、大変重要と考えます。
 実は9年前リーマンショクの影響で看板工事の売り上げが伸びず、サブ事業として「アザラシプロ」というインターネットのショップを立ち上げました。看板製作の際余った端材をDIYの材料として小ロット販売するというものがメインですが、本業が忙しくなり、実際あまり手をかけてはいませんでした。しかし今となると、会社で、ヤフーや楽天市場にストアを持っているというのは、お客様や同業者には、いい話のネタになり、社員さんも会社がネットショップを持っているんだということは、なんとなく好印象にとらえているようです。
 今回のコロナ感染ショックの影響で、看板の受注が減り正社員が交代で休んでいる時にネット販売だけは、少額ですが前年比月売り上げ200パーセントで、パートの担当者は大忙しという皮肉な結果を生んでいます。
 「ブランディング」について、もう一つ今年私が考えているのは、「ギャラリー菜根(さいこん)」という画廊の運営です。2年前から私の自宅の庭の一部を利用するという計画を練り、お客様でもある地元のゼネコン様に設計依頼。今年1月より工事を進め、7月半ばには竣工の予定。もともと若いころ画家志望だった私が、地元にギャラリーや貸し画廊等が少なく、愛好家がグループ展や個展を開く場がないことを以前より思っていました。音楽好きが発表する会場もやはり少なく、その他演劇の練習、楽器の教室、朗読会の会場等、絵画を販売する以外の目的で、地域のコミュニティー的役割を果たすべく新たな事業として展開していく予定となっています。

建設中のギャラリー菜根。
OPENはNEOS181号発刊頃。
  絵画、音楽が趣味の筆者のアトリエ


 さてこの2つのサブ事業と「ブランディング」…ピンと来ないかもしれませんが、ネットショップのほうは、今まで捨ててきた看板用資材を販売することで資源を再利用し、廃材を少なくすることで二酸化炭素の排出を少なくするという意味で、一つの社会貢献になるのではないでしょうか。そして『ギャラリー菜根』のほうは経営理念の1つ『美を創造し』に繋がっていくものと考えています。
 戦後日本は高度成長期の昭和、阪神淡路東日本大震災等未曽有の災害を経験した平成を経て、令和時代に入り、新型コロナウィルスの危機に直面しています。今まさに、経済最優先ではない文化産業が持つ役割が大変重要視される時代になってきているものと確信しています。
 ギャラリー菜根への思いは絵画展示や音楽、演劇といった美を創造出来る場として地域社会に貢献し、新しい価値の創造の小さな水源にしたいということです。
 そして、これらの2つのサブ事業は、経営理念に基づくものであり、社会貢献と言うには少し無理があるのかもしれません。
 しかし少なくとも私たちはそう信じて活動していきたいと思っています。
 本業の看板業と2つのサブ事業を一つの信念のもとに運営することが「企業ブランディング」として価値を高めていくものと信じて日々邁進して参ります。



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