サイン屋稼業奮戦記

 Vol.161
看板の光とは?
    関東甲信越北陸支部 アオイネオン(株) 田村秀広

 私は1986 年に入社し、屋外広告業に携わり 36年が経ちました。
 当然ですが入社当時と現在で大きく変わった事のNo.1は、何と言っても主流だった照明の蛍光灯や水銀灯、またハロゲンランプなどがLEDに取って代わられた事でしょう。
 今では一般家庭の照明までLEDです。LEDは 省エネ製品として見ると、今までの電気使用量 の80%以上の削減が出来ることなどから、従来の照明器具の殆どは近い将来無くなるのも致し方ない事なのでしょう。
 2003年に某タワーの地上高230mの壁面に、照明入りのロゴマークを設置する依頼がありました。思案した結果、高所でもある事からメン テナンスも容易に出来ないため、ロゴマーク本 体を通常の構造耐力以上のものとして設計しました。内部照明は当時最高レベルと言われたIP 性能67製品を使い、粉塵や防水に対しての耐候 性を有したものにする必要が有ると判断し、製 作施工には多くの協力者の力を借り、常設ゴンドラにて据付を完了することができました。
 但し据付がスムーズに行った訳ではなく、想定外だったのが、地上では感じなかった風が上 空 230mでは想像以上に強く、屋上階に設置された風速計が規定の風速を超えるとゴンドラ使用が中止となる日が多く、作業員も現場待機と出直しが続き、納期を間近に大変気を揉んだ事を記憶しています。
 LEDの明るさの半減期は40,000時間とメーカーは謳っていた事から、一日8時間点灯したとすると約13年7カ月となります。つまり2003年に竣工から約14年後の2017年をリプレース時期と想定していました。
 実際に2016年の後半にロゴの一部が薄暗い 状況になり、2017年に内部LED照明のリプレースとロゴ本体の再塗装を行いました。この事か らLEDの寿命についてロングライフ製品をロングライフに使用するための設計と施工手順が重 要である事を実感しました。これらからLEDやその他の使用材料の改修時期について想定した設計が、現在の看板設計に確実に反映されています。
 続いて変わっていないと思う事は、一つの看 板工事を完了するまでには営業・企画・設計・ 製作・施工と多くの人の手を経て出来上がる事 です。営業は、日々お客様とのコミュニケーショ ンや提案から看板工事の依頼を受け、企画では、 お客様と条例や法令・デザイン・仕様・規模・コスト・耐候性などを協議し、設計では据付母 材確認・据付方法・構造検討・製作施工図の作成。製作では、製作施工図に基づき使用部材の調達から加工・アッセンブリー・出荷前検品・製品出荷。施工では製品の受取検品・製品輸送・重 機や仮設足場の用意・安全対策・据付・社内確認。最終的に営業がお客様と工事完了確認を行なっ て初めて完工となります。
 やはり、多くの人の協力があって成し遂げられている事は今も変わりありません。ご協力いただいた皆様に心から感謝申し上げます。
 ところで、人は暗い中に灯を見て安心し、夜の街の明かりで高揚しますよね。それは人の DNA に刻まれているのでしょう。 例えばクリスマスにはイルミネーションを見て誰でも「ワー綺麗」とワクワクする気持ちなど、生活の中で灯(光)を求めその光に心を動かす何かを感じ取っているのだと思います。
 我々はこれからも「心、情報、光にカタチに」 をスローガンに、人の心に届くサインを安全で且つ長寿命製品として提供して参りますので、 今後ともご協力頂けます様宜しくお願い申し上げます。

 最後に新型コロナ感染が収まらず 4 年目とな りました。医療従事者の皆様、仕事とは言え身を呈して最前線で尽力され本当にご苦労様です。 心より感謝申し上げます。



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