特別寄稿

 「昭和ネオン高村看板ミュージアム」 準備から開館まで 
(株)昭和ネオン 代表取締役 高村 徹

 

 おかげさまを持ちまして、「昭和ネオン高村看板ミュージアム」を私共の品川本社ビル2階に開館し、3月17日にオープンを迎える事ができました。これも偏に常日頃より皆様のご支援の賜物と厚く感謝申し上げます。当日は業界関係者の方に数多くお越しいただき、レセプションを無事に行う事ができました。
 ミュージアムに展示している古看板の多くは江戸時代の物を始めと致しまして昭和初期の物まで約180点を公開しております。ほとんどの看板は、亡父であり当社先代社長の高村五郎が日本中を探し求めて集めたものであります。
 父がこれら看板の収集を思い立ったのは、昭和52年に社団法人全日本ネオン協会の仕事で「日本のネオン」の編集企画推進に携わった時に始まります。
 その本を編纂するにあたり記憶にある時代性を持ったネオン看板の写真が必要となりましたが、その時には当然ながら他のネオンサインが掲げられており写真資料がまったく発見する事ができなかったとの事です。その時代、時代の職人の方が丹精精魂込めて作り上げた作品の看板が無くなる事を非常に残念に思い、古くなって打ち棄てられてしまう前にネオンサインは保存する事ができなくても古看板ならば、と思い立ち、集め始めたと聞いております。
 またこれら古看板は私共の会社が大正11年に高村看板店として創業している原点でありルーツになるものとも考えておりました。その父も3年前に亡くなり、父の夢でありました「皆様に見ていただける様な展示施設」を公開しようと考え、それをこの度オープン致しました。
 開館までの時間が短く、内装業者さんや広告代理店さんのご協力をいただき何とか格好がつきました。しかし、いざ陳列という段では展示品の殆どが風雨に晒されながら時代を重ねてきた木製品であります。しかも虫食い等で老朽化して、脆くなっている看板も多々ありミュージアムへの搬入や据え付けには多数の社員に手伝ってもらい、かなりの神経を使い苦労いたしました。
 また今回展示品の正確な時代考証は、日本美術鑑定協会会長瀬川研一先生にお願い致しました。
 鑑定は、当社のホールの床いっぱいに看板を並べて薬屋・酒類・生活用品・文房・仏具・履物などに仕分け、鑑定、時代考証を二日掛かりでおこなっていただいております。
 さすがの先生も「これだけ多くの看板を一同に見るのは非常に珍しく貴重」と大変感心されておりました。
 「昭和ネオン高村看板ミュージアム」は開館以来、毎日多数の皆様にご来館いただき、また個人でお持ちの古美術看板の情報なども数多く寄せていただいております。魅力のあるものがあればこれからもコレクションを増やして、スペースの許す限り公開・展示していきたいと考えております。
 また今後は小・中学生など若い人達にこれら古美術看板を通じて屋外広告に興味を持って、その良さや味わいを理解して貰える様に足を運んでいただければ、幸いに存じます。
 旧東海道品川宿の散策方々皆様のご来館を心よりお待ち申し上げております。

 

 

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