点滅希

 
 「電池式ドリル」  
    

 その昔、韓国のソウルで展示会の仕事をしたことがある。世界的レースで優勝した車の展示である。中国支部で表敬訪問したことがある、地元の看板屋さんに協力してもらった。 
 ステージに優勝車をセットし、モール等で飾り立てる。その横のホールに写真パネルを展示する。三百本ものビス止め。大変だ。前もって用意してきた『電気式ドリル』の出番。職人さんに使い方を示し一枚だけ取り付けて見せた。一番若い職人さんがドリルに飛び付いた。しかし、平面のビス打ちと違い、壁に向けての操作は一寸コツがいる。コトリとビスが倒れ仕事にならない。言葉が通じないのでうまく伝授できないので苛々する。とうとう手もみの方が早いとばかり、当時の文明の利器を放り出し、受持ち場所へ散っていった。でもどうやら仕上がった。8日後撤去。全ての現地の業者に差し上げることに。例のドリルも。
 その後、業者の社長さんから礼状が届いた。
「韓国は日本より15年遅れている。やっと追いついたと思うと、日本は更に十年先にいる。参った。ドリル、上手に使えるようになった。感謝」とあった。やっと安堵した。
 今の韓国はニュースボード等が溢れ、日本を凌ぐものがあるそうだ。

(忠)

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