VOL.10 バルセロナの屋上サイン

 いま、オリンピック開催で賑わっているバルセロナは、不思議な魅力を持った都市である。 天才建築家ガウディやピカソ、ミロを育んだ街のそこここには彼等の遺産としての作品の数々が無造作なまでにちらばっている。コロンブスの新大陸発見以来築かれた海外発展による富の大きさは、豪華な建造物や高級住宅街のファサードの連なりに偲ぶことか出来る。しかし、街に流れるムードと市民の顔は、あくまでも南国の空のように底抜けの陽気さとカタルーニア地方特有の素朴さに溢れ、親しみ深い。
 そんな雰囲気の街での屋外広告はヨーロッパのどの都市よりも盛んで活気に満ちている。中でも屋上の大型サインの多いのが目を惹いた。石造建築とネオンサインの取り含せは意外なほどマッチするものだか、中でも写真の建物と広告文字の扱いは面白い。彫りの深い重厚なファサード、壁面の繊細なレリーフとタイル装飾に対して「UAP」の巨大だが単純この上ない文字は決して建築の品格を損なうものではないと感じ入った。
 





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