World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
VOL.138  客を歓迎する像
客を歓迎する像
 バリ島で一番に感じたのは彫像の多さだ。空港を出たらすぐ、巨大な数体の像が目についた。インドネシアはヒンズー教の国だから神々の姿を現したのだろう。車道の分離帯にも不思議な子供の像が立つし、寺院にも土産物屋にもたくさんの像が並べられ、島全体が彫像に満ちているのだ。こんなに楽しい国もちょっとない。
  私は数年前、北大宮にある骨董店で奇妙な像にお目にかかった。猿とも鬼ともわからない面相の男が座っているちょっと気味の悪い像だ。格安だったので買ってきて庭の隅に置いておいた。この像が何を意味し、どこの国のものなのか気になっていた。
  何と、それと同じ像がバリ島では対にして店舗やホテルの入り口に置いてあるではないか。あちこちの寺院でも目にしたから日本の狛犬のようなものかとも思った。ガイドに訊いてそれが歓迎の意を表すスマールとよばれる像とわかった。両手を組んだポーズはウェルカムを意味するとのこと。狛犬は厄病神が入ってこないように守るためのものだから役割が全く違う。
  わが庭の像の正体が判明し、気分をよくした私はそれをポーチの正面に据え直した。
 





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