VOL.15 ワルシャワのネオンサイン その1 社会主義国ならではの広告塔

 ポーランドといえば、昭和30年代に観た新進監督たちの映画の印象が今でも鮮烈だ。アンジェ・ワイダの「夜の終りに」やロマン・ポランスキーの「水の中のナイフ」など、シャープな映像と新しい若者の生き方は衝撃的でさえあった。そのイメージからこの国は社会主義国の中の先進国というイメージでいたが、実際には今回周った東欧諸国の内で最も経済的な遅れが目立ち、ワルシャワ市内の印象は30年前の映画の画面とさほど変りはなかった。しかし、ネオンサインはどの国よりも盛んで、面白いものを幾つも見かけた。
 何んといってもユニークなのはビル屋上の立体式ネオンサインだろう。地球儀形やビヤダル形等立体フレームの上にネオン管をあしらっている。写真右は原子核か人工衛星の軌跡をイメージしたものだろうか。どんな企業の広告塔なのか知るすべはなかったが、私には社会主義の権威を象徴するこの国ならではのサインと受けとれた。ヨーロッパで完壁な立体式ネオンサインにお目にかかったのはここワルシャワが唯一である。
 





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