VOL.20 アメリカのウインドネオン

 石造りの都市ヨーロッパに対して、アメリカの都市は鉄とガラスに象徴される。その構造的特質が建物を開放的にし、店々は間口一ぱいのガラスによって店内と街路を一体のものとしている。その店内を飾るのがチューブオンリイのネオンサインである。日本や香港に次いでネオンが盛んなように思われがちなアメリカも大型ネオンが見られるのはラスベガスとニューヨークの一部だけ。この国のネオンの主流は何んといってもウインドサインにある。
 デザインはそっけないくらいに単純なものが多い。丸や四角の囲みの中にビアスナックならバドワイザーやクワーズ、カメラ店ならキャノンやコダックといったふうに社名か商品名をあしらい、あたかも取り扱い商品のメニュー板という感じでウインド内に吊り下げられている。そうかと思うと、壁面や天井いっぱいにネオン管を走らせ、店全体がショールームという趣きでインテリアづくりに一役買っているものもある。
 ネオンの透明感を持った光が、ウインドガラスに映り込んだ外路樹や向いのビルと一体になって、美しく都市の風景を織り出しているようだ。
 





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