VOL.27 ホットな島のホットなサイン

 こがらし吹く東京の空を一っ飛びに抜け出すと、そこはもう常夏の島、ハワイ。照りはえる陽光と生命を謳歌する草木、原色の乱舞。それでいて木陰の風は快く爽やか。日本人が引きも切らずに押しかける魅力は、やはり行って見ないと分らない。陽気なハワイもいいが、人気なく静まりかえったハワイも味わいたい。波の音に小鳥のさえずり。そこには本物の自然が感じられる。
 ふと立ち止まったラハイナの裏通りに面して、奇妙な造形物が目に入った。三本の角材を組んだだけの単純な架構に文字が見える。目線に合わせた高さからして、これは歴としたサインなのだ。店名の両端に添えられた花のイラスト。バー中央の風車と対で吊り下げてあるフラワーポット。この上なく素朴でさりげない中に強烈な遊び心と道行く人に対する温かいサービス精神が感じられるではないか。生活にあくせくしないホットな心がホットな造形を育てるのだろう。
 





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