VOL.5 ラスベガスのネオンサイン2

 ラスベガスのホテルはどこも採算度外視の宿泊料金で賭博客の獲得に勤めている。一階のカジノでは美人のバニーガールがサービスの飲物をせっせと運び、客をゲームに専念させるのに怠りない。一方他のホテルの泊り各を誘導するのがネオンサインの役割ともいえる。きらびやかなネオンの輝きは誘蛾灯のように、遊びのお金で懐の温いにわか賭博師を甘くさそう。それ故にラスベガスのカジノはどこもが金に糸目をつけぬ豪華なサインで人目を引くことに腐心する。
 このホテル・ホリディインは外輪船に模した外観全体が満艦飾に光の溢れるサインそのものだが、そばで見上げるとバカ高い煙突と中空に浮かんだタイヤ状のネオンチューブが意表をつく。どんな仕掛かと思って昼間見に行ったら2本の柱にかけ渡したワイヤーロープに輪型を吊しただけの単純なものだった。しかし、本来固定されてあるべきネオンが宙に浮いて見える効果はデザイナー氏が十分に計算済みと見た。趣向をこらし、とことん楽しませてくれるのがラスベガスのネオンである。
 





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