World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
  VOL.54  プラスティックサインは変幻自在

 ヨーロッパではプラスティックサインは少数派だが、バルトの諸国ではこのプラスティックがずいぶんと活躍していた。突き出しサインや壁面の小型サインにごく一般的な素材として使われている。ただし、その使い方は日本とはひと味も二味も違っている。

 まず、形態にバラエティがある。三角形あり、半円形あり、曲面ありと変幻自在なのだ。次に、他の素材との組み合わせが多い。手の込んだ金属フレームと一体にしたもの、二つのブロックを組み合わせたもの、さりげなくネオンチューブを添わせたものとその着想が素晴らしい。それらの一つ一つが個性的で、楽しい。プラスティックサインがこんなにも魅力的なサイン素材であるとは知らなかった。日本ではこの手のサインといえば四角か長方形の箱型というのがほとんどだが、この違いはどうしてだろう。

 矩形なら加工手間が少なく、当然安く上がる。ローコストは注文主に対しても受け入れやすい。しかし、最も大切なのはデザイナーの姿勢の問題であるように思う。日本では小型サインのデザインといえば矩形の枠の中に文字や形をレイアウトするところからスタートしてしまう安易さがあるのではなかろうか。

写真はリトアニアのカウナスにて。

 





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