World Sign バックナンバー 世界のサイン、遂に出版される
VOL.87  イラストの効用
イラストの効用

 オランダのデン・ハーグにあるマウリッツ・ハイス美術館を見学したときのことである。トイレで用を足そうとして、ふと小便器の中をのぞいたら、小さな汚れのようなものが目についた。しかし、汚れにしては何かに似ていると、よくよく見れば、それは便器に印刷されたハエのイラストなのだ。本物のハエよりやや大きめだが黒い輪郭線に黄色で彩色し、実にリアルに描かれている。これも美術館のアート演出かと思ったが、そうではなかった。
 男性の場合用を足しながらしばし、あらぬ方向を向いて瞑想にふける。そんな時、知らない間にホースの先端もあらぬ方向をむいていて床を汚してしまう。
 ハエのイラストはその防止対策として施されたものだった。男たるもの便器に何か付着していると、それを流そうとしてそれ目標に放水する習性もつ。この性向をうまく利用したのがハエのイラストというわけだ。初めは漫画チックなものにしたがあまり反応がなく、よりリアルなものに変えたら効果絶大になったというから面白い。便器メーカーの発案かと思ったがその後、違うメーカーのものにも見かけたし、撥ね上げ防止用のマットに描いたのにも出会った。
 もしかしたら清潔好きの国民の総意としての国家的対策なのかもしれない。

 





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