祝辞100号によせて

 
 
重い役割を担って
廣邊裕二
(社)全日本ネオン協会名誉会長

 2007年の新年を迎えるとともに、「NEOS」100号の発行が出来ましたことは誠におめでたい極みであります。平成3年2月の第1号発行より16年間の長きに亘り、毎号ごとにその内容が充実し、協会活動の広報にとどまることなく、広く屋外広告業界の動向を伝える機関誌としての目的を十二分に果たして頂いたことを厚く御礼申し上げます。
 申すまでもなくこれも一重に小野博之副会長の広報委員長としての並々ならぬ情熱と弛むことないご努力の賜物であり、それに応えた多くの各委員諸兄と、編集に協力頂いた「武蔵野から編集室」根本さんのお陰であります。 

 私が、前高村五郎会長より引き継いだ当時、新会長としてまずなすべきことは、三つありました。第一には広報誌の刷新、第二に定款の改革、第三に会員構成の若返りでありました。
 その中で、一番早く実施が可能なものが新しい広報誌の刊行でありました。今ですから、簡単に申し上げることができますが、実際には関係者の献身的な努力と幸運に恵まれたことがなければ不可能なことであったと思い出します。小野さんという有能な委員長に担当していただく事ができたことと、三谷 洋さんから「NEOS」という協会機関誌に最も相応しい名前を付けて下さったことであります。三谷さんに表紙の絵として各都市のネオン景観のイラストをお描きいただきました。そして記事が多くの会員に全ネ協の活動内容がわかり易く親しみをもって受け入れて頂くことが出来たことだと思います。

 現在、国の経済は順調に回復を続けていますが、いまだネオン業界は厳しい状況にあると思います。美しい国造りに向け、今後の業界のあり方をどのように導くべきかが問われる時に、広報誌「NEOS」が果たすべき重い役目が更に求められるものと思います。
 200号に向け、益々のご研鑚とご活躍を心より祈念申し上げ、NEOS100号発行のご祝辞といたします。

NEOS 新たな展開を!
鎌田経世
SIGNS in JAPAN 編集長

 「サイン」はシンボルとシグナルの概念を持つ意味の深くて広い言葉で、この情報時代のキーワードの一つです。しかし「サイン業界」となると残念ながらニュアンスが違ってきます。今日でも昔の看板屋というイメージや体質が、その言葉のどこかに付きまとうのです。 

 一方、2006年年末に発表された第40回SDA賞入賞作品を見ると、環境系やインテリア系の作品が多くを占め、いわゆる広告・看板系の作品が非常に少ないのです。私はこの現実は異常な事だと思い、業界とデザイン界の乖離に危機感を持っています。都市景観さえ左右しかねない看板など屋外広告物の再構築に向けて、サイン界など関係者の取り組みに期待しているのです。

 サインは一面では調和を理念として環境を分かりやすく構築するシステムではありますが、一方では広告媒体として長い歴史があり、都市の活動と景観に強い影響を与える“物”という側面があります。
 さらに、今日のサインの表現手段や材料の発達には目を見張るものがあります。しかしこの表現力の拡大と比例するように、景観への配慮を欠いた広告は、特に道路環境に多く見られます。 

 一方、我が国は漢字という表意文字文化圏にあり、表音文字・ローマ字とはデザインや調和の考え方ばかりではなく、文字そのものに対する考え方の奥行きさえ異にしています。それだけに、サインの設置やデザインに安易な態度は許されませんが、だからと言って規制強化だけではその本質をそこないかねません。 

 NEOS100号!これは時間だけによって達成されたものではありません。ネオン協会の強い意志と編集者の努力など、全ての条件や力が相俟って達成された記念碑なのです。しかもこの100号達成には、社会やサイン界の大きな期待や文化の背景があるはずです。現在のサイン界に指針をお示しいただき、新しい展開とご発展を祈念いたします。

ネオンの可能性はまだまだ未知数
井原理安
(社)日本サインデザイン協会会長

 ネオンといえばビルの屋上に掲出されているネオンサインを想い浮かべるが、私がまだ四国、高松でデザインや絵の勉強をしていたころ高松にもネオンが市内の繁華街のあちこちにあったが決して美しいものではなかった。遊戯場や飲食街にギラギラした、けばけばしいものであるが何処か夕暮れ時になると、生き生きとして華やいでいるのが印象的であった。 

 東京に出てサインや看板の仕事に携わった頃、銀座で見たビル屋上のネオンサインは素晴らしく、洗練されていた。ネオンは一体誰がデザインしたのだろうかと思った。その頃は著名なグラフィックデザイナーがデザインをしていたことが、サインのデザインに従事していた私としては残念な思いをしたことを記憶している。 

 日本サインデザイン協会に入会したころネオンサインは建築と一体化されたデザイン(銀座 TOTO/銀座オメガ天賞堂など)は建築主、建築設計者、施工メーカーと共同して掲出され、街並みにマッチするネオンは興味深かった。昭和61年渋谷に出現したクラリオン「トライアングル広告塔」は、コンピュータ制御され、ネオンチューブの今までにない物語り風な動きは驚きの一言であった。
 その後、ネオンチューブのみならず面発光やLEDによる新しい光の表現方法などが街の夜景を楽しませてくれるようになり(オリンパスの一連のネオン)、ずい分進化してきたようである。日本サインデザイン協会SDA賞にも毎回優れた作品が応募され入賞しているのもネオンの可能性がまだまだ未知であるということではないだろうか。サインデザインに携わる一人として、もっと、もっとネオンに理解を深めたいと思う気持ちです。

平和のシンボルたれ
伊東寿太郎
(社)日本サインデザイン協会会顧問

 NEOS100号刊行、まことにおめでとうございます。
 社団法人全日本ネオン協会の広報誌として、協会創立の理念の実現に向け、社会的啓蒙活動を推進し、我が国の屋外広告の普及発展に努め、都市景観における情報発信の質を高めた功績は高く評価されます。 
 顧みれば、創刊から100号までの17年間は、失われた15年といわれた長期不況に苦しむ日本の姿に重ね合わせられた時代でもありました。しかしながら、この苦難の時にあっても、屋外広告は創意工夫をこらして、環境を活気づけ、斬新なデザインと技術によって、経済文化に寄与してきました。
 この間にも、世界はテロと戦争、資源の枯渇、異常気象の発生という人類の生存を脅かす災いが起こっております。私共の業界も、省エネ、省資源に努めるのは当然でありますが。ITのデジタルコンテンツをサインに活用して、より華やかな都市空間を実現され、平和な日本のシンボルとなるような街並が出現することを期待いたします。

ネオン技術発展の発信基地として
中野弘伸
職業能力開発総合大学校 電気システム工学科教授

 NEOS100号発刊 おめでとうございます。
 広告業を専門とする業界誌とあって、内容はもとより、見やすく、かつ読みやすさでは類を見ない専門誌といえるのではないかと思います。
 自身、毎回送られてくる本誌を楽しみにしている一人です。
 私も、当協会にお手伝いするようになって20年以上になるのではないかと思いますが、常々、当協会がネオン技術発展の発信基地としての役割を果たし、その情報伝送の媒体の一つとしてこのNEOSの存在があるのだと思って居ります。

 昨年、ある都市でネオン広告にからむ厳しい条例が議会で可決されたことを新聞で読みました。なんと寂しい出来事かと思いました。また、昨年の暮れ、忘年会を兼ねた有志会の帰り、仲間と一緒に銀座近辺を歩いたとき、色とりどりに輝くネオンを目にしました。

  ネオンの輝きは「心をなごませ、人の心を引き付ける、そして寒さを忘れさせ、さらに人の心を甘い誘惑に誘うような!」なんとも不思議な力を持っているのだろうと思いました。また、仲間の一人が初めて通る道を、ビルの合間に見えるネオンを目印になんなく目的地に誘導してくれたことを思い出す。
 人の見方、考え方によって異なろうが、ネオンは私にとっては心をなごませてくれる輝きでもある。銀座の全てのネオンが消えたことを想像すれば一目瞭然であろう。
 ただし、ネオンも度を超す光を発した時、人によっては不快感を与えることも考慮しなければならない。ともすれば、今後、業界はネオンによって「人の心をなごませる!人の心を豊かにする!人の心を引き付ける!」等を社会環境と如何に融合させるかを判断する技術の研究も重要になってくるであろう。
 終わりに、今後益々全日本ネオン協会が発展することを祈念します。

拝啓 NEOS様
高橋是清
「総合報道」社長

 発刊100号おめでとうございます。
 あなたがネオン業界の広報誌として、平成3年にスタートして16年。終始ささえられるモチベーション&コラボレーションの組み合わせもよく、バラエティに富み、充実した内容となっていますね。
 発刊当初、あなたの広報委員長から「問題意識を持つことが必要ですね」と聞かれて、「それが第一でしょう」と答えたおぼえがあります。ネオン業界の動向、個企業、人の動きから世界のサイン、情報や写真など多岐にわたった情報量にはおどろいています。
 全国9支部の組織を活用して、編集会議を通じ、各地のナマの声が聞かれるのも魅力となっていますね。
 広報というメディアのあなたを核として、時代を写しながらネオン業界の歴史がつくられていく。大きな使命ですね。
 次の100号に向かって進んでください、「継続は力なり」。           敬具

祝辞
Lori Anderson
ISA(国際サイン協会)プレジデント 事務局長  ロリ・アンダソン

 このたびNEOSが第100号記念号を発行されることにつきまして、国際サイン協会(ISA)は、心からなるお祝いの言葉をお贈りいたします。この2007年3月号の発行を一里塚として、NEOSは、更に新しい時代に向けて、引き続き日本及び世界各国のサイン業をめぐるニュースや情報を伝達する崇高な役割を果たして行かれることでしょう。
 私はまた、国際サイン協会を代表して、社団法人全日本ネオン協会の板野遵三郎会長並びに職員の皆様に、ISAサインエキスポ及びISAの諸活動へのご協力に対し、感謝申し上げたいと存じます。特に日本を代表するサイン業者の方々がエキスポに参加されるにつきまして毎年大きな役割を果たされました。昨年ラスベガスでのエキスポでは日本から153人のご訪問を頂きましたが、世界的に見ますと訪問者の33%はアジアからであり、その5%は日本からでその数は米州以外からとしては第3位でした。
 今年のエキスポでは、最新のデジタル製品と技術、ネオンサイン、チャンネル文字、庇看板、メッセージセンターを経験していただけるほか、業界に衝撃を与える諸問題、最新技術の実習、その他無数の専門的知識を学んでいただけるなど、NEOS読者にきっとお役に立てると存じます。
 最後に、今一度NEOS100号おめでとうございます。今後とも両協会の末永い協力関係が継続しますことをお祈りしております。
 


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