片仮名で『口』の字を書いた。他の文字とバランスがとれない。書き直しているうち、口はこんな字だったかな、と錯覚が始まる。
漢字には納得し易いものと、そうでないものがある。
山脈越えする際、天候が急変し春先なのにミゾレが降ることもある。そのミゾレと言う字が思い出せない。習ったかどうかも定かでない。そこで辞書をひく。『霙』とある。が何故ミゾレか、と悩む。雨が秀でて霙になる、と勝手に解釈した。
霙が進化し霰に、やがて雹となる。ここ迄は分かる気がした。
ところが『霖』や『霾』は何と読む。前者は『ながあめ』後者は『つちぐもり』と読む事が分かった。辞書には霖雨で載っている。霾については辞書にない。どうも俳句用語らしい。
五萬とある漢字の世界でその内の三つや四つを捉え、おこがましく論じることは全くけしからん、と相成り詮索をやめた。元々有りもしない脳味噌へ更に皺を増やすこともあるまい。分相応以上に悩むことは第一、頭によくない体操である。
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