点滅希

 
 『もったいない』  
    

 惜しまれながら閉店した大阪の「くいだおれ」この記者会見で社長の横にいたおかみさんが「さっきから何をささやいたらええんやろ?思いましてねェ…」とコメントして大爆笑をさらったとか。これは食に携わる大阪人として、許せない輩への痛烈な皮肉と見た。
大阪は食文化が誇りの街。この地で、一見の客をとらずコースが5万円からという老舗がお客の食べ残しを使いまわすという許されざる行為をはたらいた。「頭が真っ白」の囁きで一躍有名になった女将の店である。
 もったいないから、使ったのだとか。もう一度売れば丸儲け、みすみす逃したらもったいない。これがこの店の思想である。
 「もったいない」とは、ものが生かされない、無駄になることを惜しむ気持ち、そして資源や恵みへの感謝の気持ちが込められた言葉である。英語をはじめ外国語には無いものだ。この美しく奥深い日本語がとんでもない使い方をされたのだ。こんな曲解は実に怪しからん。
 もったいないと思ったら、若い職人の賄い飯にして勉強させたらよかっただろう。仏教用語から生まれたという「勿体ない」それならお釈迦様もにっこりだろう。

(頑)

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