私も今年で、ネオン協会に参加させて頂き丸11年が経過しようとしています。思えばアッという間の11年でした。
今迄にNEOSのこのコラムで登場された方々と比べると、看板のキャリアはまだまだ熟練工とは言えません。
父が看板・塗装・ガソリンスタンドの経営をしていました。私はガソリンスタンド経営を任されていました。12年前に石油製品の自由化が法的に認められるようになり、業界を取り巻く環境は、大きく変わってしまいました。収益面にも大きく影響する事となり、平成9年9月をもって、ガソリンスタンドは閉鎖しました。
それから看板・塗装の仕事に取り組む事になりました。その時が37歳。看板・塗装に対して少なからずためらいもありました。
父が、「職種も全く違うし仕事を一通り覚えるには4〜5年かかるだろう。でも、お客様から依頼された物を完成させていくその過程も仕事としてやり甲斐もある。完成した看板を眺めるのは至極の歓びだ」と言って私の気持ちはだいぶ楽になり、その道に進むことを決めました。
「よし、みんなが4〜5年かかるなら私は1年でこの仕事を覚えてやろう」と、決心したのでした。とはいえ右も左もわからず、ベテランの看板職人におこられたこともありました。仕事を覚える為に現場作業からこなしていかなくてはなりませんでした。まさに失敗の連続でした。 若干500角の正方形のスコッチシート3枚を平滑なガラス面に貼る事もままならず、片道40分の現場を3往復したり、寸法を取りに行ってミリとセンチを書き間違えて出来上がったシートは、受注サイズの10分の1のものになっていて、大慌てしたり、そんな大失敗もありました。
現場作業と並行して営業活動もしていましたが、お客様との交渉には随分と気をつかいました。仕事の話を進めていく中で、そのお客様がどんな看板を作りたいのか、またその看板で何をどうアピールしたいのか、そういった事をしっかりと把握してゆかなければなりません。どんなに大きくて目立つ看板でも、そこから何もアピールしてこなければその看板の価値はないからです。
当社は、ネオンの仕事は比率的少ないのですが、地場のパチンコ店、大手スーパー等のネオンなど新設・補修を継続的にこなして行くうちに仕事の要領も掴めるようになってきました。
私が看板の仕事をするようになって、工事金額が高い工事だと、ちょっとした小さいプレートはサービスでいいじゃないかと言われる事がしばしばあります。サービスとは、いつどこでも全ての人に対して平等に与えることが出来るもの。これがサービスの本質と思っておりましたので、そういったお客様の要求に対して不満に感じたりしました。
現場調査費についても、ネオン修理を頼まれて現場調査に行くのは調査費をもらわないとただでは出来ません。
もうひとつ、シュミレーションについてもデザイン料を取るわけにいきません。デザイン料も含まれていて当然のような感じになっています。こういうことはよくある事なのですが、少しずつではありますが改善していきたいと思います。
話は変わりますが、平成19年6月に社長を引き継ぎました。
今現在、日本の看板業界を取り巻く環境は大変厳しいものとなっております。ここ2〜3年、新しい看板を作るより、看板を取り外してくださいという注文が増えてきました。
街の商店街の店主の方々に話を聞くと、「うちはインターネットで商売をしているから看板はいらないよ」とか「お客様の受注は殆どがインターネットになっているので看板は今のサイズの半分以下でいい」とか、なんとも淋しい返事です。
ここ10年間インターネットは、ものすごいスピードで普及していきました。個人で商売を商っている方は、何よりもインターネットによる宣伝活動が重要となってきます。そういった意味では、ひと昔前よりも看板の必要性というもの自体が低下しているのではないかと思えたりもします。
ここ数カ月の、米国サブプラムローンによる日本の一流企業の低迷ぶりも看板業界に大きな打撃を与えています。当社も今どうやって毎月の売上を確保するか、必死で打開策を練っているところです。
去年6月から、当社もホームページを開設しました。ブログは毎日更新しています。
仕事の事だけでなく、会社での日々の出来事なども綴っています。ブログを書くことによりもっと当社のことを知ってもらい、こちらから情報の発信をしていきたいと考えています。いろいろな人が読んでくれることで励みにもなります。
手作りチラシ「ダイトーだより」も月に1回発行しています。私自ら、手配りで直接お客様と会って渡しています。毎月チラシを渡すことにより、お客様が顔を覚えてくださいます。チラシの内容も仕事の事だけではなくお出かけ情報や簡単レシピや季節の花など暮らしに役立つ情報を掲載しているので、チラシを毎月楽しみにしてくださっているお客様もいらっしゃいます。
廃材のカットボードやカッティングシートを何か利用できないか思案中です。ごみを減らして再利用。環境やエコについても考えて行きたいと思っています。
今後もネオン協会の一員として業界全体の繁栄に少しでもお役に立てる様、社員一丸となって頑張っていきたいと思います。
|