点滅希

 
 「ウランボンエ」  
    

 ケーキの名前か?と問えば、「孟蘭盆会、お盆のことです。」…教養の無さを露呈してしまった。ここ東京では7月13日から16日であるが、全国的には8月が多いようだ。
 お盆といえば昔はどこの家でも迎え火と送り火を焚いたものだが、今や町内では我が家ぐらいであり寂しい限りだ。もっとも、最近はオガラを使うのであっという間に燃え尽きてしまうから、ご近所とタイミングが合わないだけなのかもしれない。
 昔は松の根を割ったものを燃やしたので、かなり長い時間燃え続けた。夕暮れの町内のあちこちで炎が揺れ、家族で火を囲んでいるのが見えた。ご先祖様が道に迷わず家にたどり着くまで目印の火が消えないようにして待つのだ。
 幼心に「あっちでもこっちでも火を焚かれて自分の家が判るんかいな。」などと思ったものだ。火の係りは子供だが、松の根はそう簡単に火が点かない。新聞紙を固く絞って積み重ね、その上に松の根を組んで点火する。傍らにバケツの水を忘れてはならない。子供はこうして火の扱いに慣れるのだった。
 日本の慣わしが次々消えてゆく。風情という言葉もやがて死語となるのか。

(頑)

Back

トップページへ戻る



2010 Copyright (c) All Japan Neon-Sign Association