ちょっとヒント・うちの会社では

 
 初心に帰る…創業地の清掃  
     北陸支部 ヨシダ宣伝(株) 徳田幸二

 当社は今年で創業92年。看板広告・催事興行・展博事業を主要業務として、大正8年(1919)、金沢市長町で産声を上げました。
 当時から一歩外へ出れば、金沢の繁華街の超ど真ん中という場所にあり、常に金沢のさまざまな行事に絡む企業体質をもっていました。もちろん社員間では、退社時間が来ると、すぐにネオン街に出られるという格別な利点?もあって、そのことが長く社員たちのエネルギーにもなっていた…?とも思われます。
 しかし、時代の変遷とともに、街のど真ん中に事務所があるというのはさまざまな弊害を生み始めます。事務所としての狭さや駐車場の確保、その他活動拠点としての弱点が露見していきます。
 そして、平成13年(2001)、ついに本社を移転することになったのでした。創業82年目にしての移転でした。
 当社ビルが解体された後、創業の地は金沢市の手によって「香林坊にぎわい広場」として整備され、地元の人たちに愛される公園として再生されました。当社の創業地であることを示す小さな石碑も、花壇の中に立てられています。会社はなくなりましたが、今でも商店街の一員であり、さまざまなイベントなどに関わらせていただいてもいます。
 創業90周年を迎えた平成21年(2009)からは、この創業地の公園を美しく保っていく一助にと、自分たちの手で清掃活動を始めました。役員・社員を問わず、10人ほどの小グループを編成し、冬を除く月に一度の休日の朝に実施しています。
 特に晩秋の頃に当番になると、落ち葉の処理で大変苦労させられます。また、繁華街の公園ということもあり、心ないゴミの投げ捨てなども見受けられたりします。
 しかし、そこは当社創業地であるという意識が勝るのです。「街や人々に活力と喜びをプレゼントしたい」という当社永遠のテーマが、創業の地への愛着を生み、誇りとなって活動に表れます。
 もうすでに創業地で働いたことのない社員も多くいますが、彼らもまた清掃活動に参加することによって、当社がその地で誕生したということに、何らかのものを感じ取っていることでしょう。そこで働いていた先輩たちから聞かされる話にも、心を動かされていると思います。
 当社ではまた、創業100周年を控えてもいます。この活動をとおして、会社の歴史を再認識することで自分たちの原点を知り、そこからさらに自分たちの未来像を描くことの大切さを学んでいます。
 活気ある会社の空気を維持していくために、原点に立つというのは、多くの意味で重要なことなのだとあらためて考えさせられている次第です。

創業地にできた「香林坊にぎわい広場」


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