最前線シリーズ 10

 

銀座の最先端デジタルサイネージ


月刊『サイン&ディスプレイ』編集部 青木利典

銀座の商業施設
 今回は銀座の街ナカで見かけるデジタルサイネージをご紹介します。
 まずは商業施設系から。写真1は「銀座コア」のエントランスに設置されたデジタルサイネージです。60インチくらいのディスプレイを使って、テナント紹介などを行っています。目新しいものではありませんが、階数と店名だけを記す従来の案内表示とは違って写真付きでテナントが紹介されるので、特に飲食店等はどのようなお店なのかイメージしやすくて効果的だと思います。
 デジタルサイネージであればコンテンツの差し替えも容易なので、季節によって表示するメニューを変えるといったことがスピーディに実施できるのもメリットです。ただし、1画面ではすべてフロアの店舗を一度に表示することはできません。


写真1:「銀座コア」


写真2:「ルミネ有楽町」
 そこで、従来からの案内表示とデジタルサイネージを併用するケースも増えてきました。例として挙げられるのが写真2の「ルミネ有楽町」です。左側がアナログな内照式の案内で、右側がデジタルサイネージです。テナント紹介の静止画が一定間隔で切り替わります。中には日時限定のイベント情報を紹介している店舗もありました。
 サインシステムを手がける会社に話を聞くと、施設内の更新頻度の高い情報はデジタルサイネージで発信して、それほど更新頻度の高くない情報については従来通りのサインと、使い分けが進んでいるそうです。

 写真3は「銀座ベルビア館」のエントランス部分です。向かって一番左はシート貼り。中央には65インチのディスプレイを縦置きで3面。右端はおそらくロール式のサイン(一定時間でグルッと回転して絵柄が切り替わる)です。
 中央のディスプレイ3面はタッチパネルになっています。画面の下1/3ほどの部分に、各フロアの店舗が一覧表示されていて、ここにタッチすると、そのお店のプロモーション映像が流れます。すべてのテナントを一度に表示はできませんが、3面あるので一度に3〜4フロア分をカバーしています。またこの3画面を連動させて、一枚の絵を表示することも可能な仕様となっています。
 設置されたのは3年ほど前ですが、これだけ手の込んだサイネージを商業施設のエントランスに設置している事例はあまり多くはありません。富士フイルムイメージテック(現 富士フイルムイメージングシステムズ)がこれらのハード・ソフトを納入し、コンテンツ制作まで行っています。


写真3:「銀座ベルビア館」
ユニクロ 銀座店


写真4:「ユニクロ 銀座店」
 世界各地に展開する「ユニクロ」は、今年3月に9番目のグローバル旗艦店となる「ユニクロ 銀座店」をオープン(写真4)。先進的なデジタルサイネージを導入しています。これらはNECが手がけており、同社ホームページのニュースリリースにも情報が公開されています。
 店内の撮影が難しかったので文章だけの説明になってしまいますが、以下の通りです。店内には46インチのディスプレイを横置き縦4面、横置き縦2面・横2面などのマルチディスプレイが多数設置されています。表示コンテンツが多彩で、4面に動きのある1枚の映像を表示したり、各画面にそれぞれ異なる画像を表示するなど、次々に切り替わっていきます。NECの、「PanelDirector(パネルディレクター)」というデジタルサイネージソリューションが用いられており、4画面を1台のSTB(セットトップボックス)でコントロールしています。
 ユニクロでは、店内にデジタルサイネージを導入することで、紙のPOP等は極力減らして、店内をよりキレイに見せようとの意図もあったそうです。実際に店内をご覧になっていただくと実感できますが、非常にスッキリしていて、気分良く買い物ができそうな空間なのです。
 また1Fと2Fは吹き抜けになっており、壁面にはスリット状のLEDディスプレイも設置されています。
ソフトバンク銀座
 今年3月にオープンしたソフトバンクモバイルの旗艦店「ソフトバンク銀座」のデジタルサイネージも要チェックです。入口の両脇には、縦置き・横置き混在でディスプレイ間にはスキマのあるマルチディスプレイが、ゲートのように設置されています(写真5、6)。
写真5、6:「ソフトバンク銀座」のエントランス

 一見デタラメに配置されているような6面のディスプレイ全体に、1枚の動画が表示されています。ディスプレイのある部分だけが切り抜かれたように表示され、ディスプレイ間のスキマ部分にも本来映像の一部があるのですが、そこは表示されません。独特のディスプレイの配置でアイキャッチ効果を得ています。
 この案件にどういったシステムが使われているのかは判りませんが、日本サムスンとエヌジーシーが2010年にリリースした、「マジックインフォビデオウォール」を用いると、このような表示が可能です(写真7)。さらに店内には、横6面縦2面の大画面マルチディスプレイも設置されています(写真8)。

写真7:「マジックインフォビデオウォール」の操作画面 写真:「ソフトバンク銀座」店内のマルチディスプレイ

 「ソフトバンク銀座」や「ユニクロ 銀座店」のようなデジタルサイネージは予算規模も大きくなり、こういったものを導入できる企業は限られてきますが、関心のある方はぜひ現場をご覧になることをおすすめします。デジタルサイネージの迫力やアイキャッチ、空間デザインにおける効果的な役割などはご参考になると思います。
 銀座は“屋外広告のメッカ”というだけでなく、デジタルサイネージもかなりホットです。



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