雨の日の運転は気が滅入る。長い付き合いの愛車はワイパーが音を立て視界は曇る。それでも無いよりはマシだが。
1910年代、ワイパーを発明した米国トリコ社。社長が、雨の日に自転車の少年をはねてしまったことから開発したのだそうだ。確かに1900年代初頭のT型フォードの写真を見ると、ワイパーがついていない!
ワイパー100年の歴史には数々の改良と進歩があったらしいのだが、本当にこれしか無いんだろうか?いつまでも雨粒をふき取っている時代じゃないでしょう、って思う。
とは言うものの、ワイパーにも好いところはある。雨、フロントウィンドウ、ワイパー、これがラブシーンに実に似合うのだ。名作「男と女」を始めとし、随分たくさん使われてきた。外から見ても、内から見ても、視界が不明瞭なのと、ワイパーの動きで、見える見えないが反復するところが、味わいを増している。
こういう使いやすい小道具が無くなると映画界は困るに違いない。最近は主人公が煙草をふかすシーンは使えないから、演技力のない2枚目俳優では間を持たすのに苦労するはずだ。などと下らないことを考えている間に、ワイパーのブレードを交換に出かけよう。
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