表紙によせて─11

 

鞆の浦「鞆港」

  (有)井原理安デザイン事務所代表 井原理安


 港町シリーズも6回目であり、1年が経つのが早い。
 横浜、長崎、神戸、函館、呉と、各港町を航行してきたが、今回は古くから潮待ち、風待ちの港として万葉集にも詠われ、国内外との交易で栄えた港町、に立ち寄った。
 JR福山駅から南へ14km、沼隈半島の先端にあるのは内海の潮の干満の分岐点にあたり、この潮に乗っての航法であったので「潮待ち」をここ鞆港でおこなっていた。
 この船着場は文化8(1811)年に築かれたようで雁木、常夜燈は安政6(1859)年に再建されている。町内には由緒ある旧跡や歴史的な事件(坂本龍馬の率いる海援隊の蒸気船いろは丸と紀州藩の蒸気船明光丸との衝突事件)などが展示されており過去にタイムスリップしたような錯覚を覚える。
 昔ながらの港町のたたずまいに、ゆっくりとした時の流れを感ずる一日であった。


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