発信簿

 

イキテテヨカッタ

  関東甲信越北陸支部 中野聖子


 眩しく光る真夏の海面に目を落とし、魚のあたりを待つ。船のエンジンとリールの音が波に吸い込まれ、カモメの鳴き声が上空で響きます。
  千葉県は海に囲まれていて釣り好きにとって恵まれた環境です。日頃、納期に追われる繁務をお持ちの方はこれが一番という発展的解消法をそれぞれお持ちでしょう。この季節の私のこじつけ解消法をほんの少しだけ。
  仲間と連れ立って行く釣りは本番前の準備から始まります。竿頭になるぞ…気合たっぷりで釣具の選択。並べてはしまい、出しては並べの繰返し。子供だった私が、母親に名前を入れて貰った色鉛筆やノートをランドセルに入れたり出したりしては大人たちの笑いを誘ったその頃とちっとも変ってないじゃない。
  ネオンの灯りがまだ残る暗い町内を抜け魚港に着くと、潮の香りが目を覚ましてくれます。心地よい海風に吹かれ、美味しく食べてあげるよ…と声掛けながら魚とのやりとりを楽しみます。
  ラーメン1杯の反省会を済ませ、手遅れの日焼けにため息しながら帰宅早々に魚を捌きます。千葉の地酒に自作のお造りを肴に一人酒盛りをして長い一日が終わります。イキテテヨカッタ…なんて言いながら。
  どうです、こんな一日は。


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