「獏園」 渋澤龍彦=著 山口 晃=絵 平凡社刊 |
本書は幻想小説の第一人者渋澤龍彦の「高丘親王航海記」から獏園の1章のみを抜きだしてアート本仕立てにしたものだが、山口晃が挿絵を描いている点で興味深い。 山口晃は平成の浮世絵師とも称され、江戸時代と現代が混交する細密画がよく知られる。この人がこんなに情緒的でしかもセクシーな絵を描くとは意外だった。 話は、親王が世にも不思議な仏教王国の旅で人間の夢を食べる獏に出会う話を綴ったものだが、作家と画家のコラボレーションが稀こう本ともいえる世界を作り出している。 |
博 |