孫が我が家に遊びに来たときは家内が菓子やおいしい物をいろいろ出してやるが、当人は見向きもせずに遊びに夢中になっている。概して今の子供はこんなものなのだろう。つくづく私の子供時代との隔たりを感じてしまう。
私の子供時代は戦時から終戦直後とあって食べものに飢えていた。大根の葉っぱ入りのご飯やジャガイモ、さつまいもをご飯代わりに食べさせられた。関心の第一番は食べることだった。大きくなるに従い日本も発展し、食生活は豊かになった。ラーメンを初めて食べたのはいつ、どこで。天ぷらそばを初めて食べたのはいつ、どこで。私には食べ物のほとんどに初体験の記憶がある。だから、何を食べてもおいしく感謝の気持ちでいっぱいだ。
記憶が生まれる以前からおいしものを食べつけている今の子供には食についての初体験の記憶などないだろう。だから食に関しての執着も薄く、感謝の気持ちも持ち得ないのではなかろうか。
人間として果たしてどちらが幸せだろうか。私は食に飢えていた子供時代をもつことが不幸だったとは思わない。
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