面白ブックレビュー

 
「愛しき駄文具」
きだてたく著 飛鳥新社刊
 文具は神聖なモノ、おもちゃは遊ぶモノ。小学校の頃はそう思っていた。
 モノあまりの時代、文具とおもちゃが合体してとんでもないものが出現している。頭蓋骨とホッチキスが合体したり、ボデービルの男がセロテープと合体したり。どちらかというと実用より遊びの要素が大きい。駄文具の“駄”とは駄菓子の“駄”ではなく駄じゃれの“駄”なのだろう。たとえば「哲学の付箋」というのがあり、「と、私も前々から考えていた」と印刷されているからお笑いだ。パスカルの「我思う、ゆえに我あり」の項にこれを張っておけば、知らない人は「さすが」と感心するだろう(か)。
 こんなのを考え付く人間はよほど頭が柔らかいのだろう。全編が面白駄文具のオンパレードで頭を軟化させてくれる。


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