ネオンの仕事

 

ネオンマイスターのバッジが結んだ不思議な縁

NEOS編集長 岩波智代子

  以前当協会の副会長をなさっていた小野博之氏が「縁のシンフォニー」というおもしろいエッセイをネオスに連載されていた。旅先での出会い、協会での仲間、そんなさまざまな出会いが紡ぎ出す縁をシンフォニーにたとえて書かれていたことで興味深く読ませてもらった。
  ところが、このたび「縁が紡ぎ出したネオン看板完成の話」はまさに「縁は異なもの味なもの」の結果であったといえるだろう。
  ご存じのように当協会ではネオンマイスター制度を設置し、ネオンの技術を伝承していこうということで、全国のネオン管技術者にネオンマイスターの称号を贈ることになった。そこで(公社)日本サインデザイン協会の副会長の宮崎桂女史にそのバッジと楯のデザインを依頼した。できあがってきたものは彼女の細やか、かつシャープなデザインの仕上がりで関係者一同とても気に入って早速各支部に送らせていただいた。そのことはネオスの新年号(148号)でご紹介したので皆さんすでにご周知かと思う。そしてここから、味な縁の話が始まるのである。
 バッジが納品されてから1〜2カ月経った頃、宮崎さんからメールが届いた。
 「Facebookでネオンバッジを紹介したところさっそく、知り合いの若手建築家からネオンサインについての問い合わせがきました。場所は神戸の有馬温泉のBARだそうで、オーナーからの依頼とのことです。お店なので規模は小さいと思いますが、どのようにつないだらよいでしょうか?」
 「ネオン看板をつくりたい!!!」なんて、甘い響きの電話が少なくなった昨今、嬉しくなって思わず舞い上がってしまった。早速関西の梅原支部長に連絡して施工業者をご紹介していただきフォローをお願いしたのはいうまでもない。
 しばらくメールのやりとりがあり、やっと先日いよいよネオンサインが出来がったという連絡と写真をいただいた。
 シンプルだけど、かわいい。絶叫しながら存在をアピールするのではなく「やってるよ」という感じでさりげない。オープンしている時だけ『OPEN』の文字が点灯する。柔らかいグリーンとブルーそしてレッドの組み合わせが独特のネオンカラーのせいでほっとした味わいがある。
 Facebookという新しい縁で生まれたデザイナーの深山さんとネオンマイスターの安富さん、これからもこの縁で新しいシンフォニー(作品)を生み出して欲しいと思っている。


設置場所:有馬温泉「BARニュールンベルグ」
仕掛け人:宮崎桂、梅原敏裕、横山巖 デザイナー:深山健太郎
ネオンマイスター:安富義仁/ヨシネオンスタジオ
クライアント:金井啓修(陶泉御所坊 主人)


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