表紙によせて─11

 

「いつか見たネオンサインD」

  浅井愼平


 陽が沈み、星が輝きはじめた。
 どうやら、明日も晴れるらしい。
「五時出発だな」
 ぼくはアシスタントの鬼太郎に声をかけた。
「そうですね」
 鬼太郎はいった。
 モーテルのネオンサインが瞬きはじめた。
「今夜は飲むのを止めよう」
 ぼくは自分に云いきかせるようにいった。
「一杯だけ、というのはどうです」
 鬼太郎は片手を上げて飲む振りをした。
「いや、止めとこう。明日はすこし厳しいからね」
「砂漠の洞窟って、どうなっていいるんでしょうね」
「さあ、オレにもわからんね」
 ぼくと鬼太郎は笑った。


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