水と空気が綺麗で名峰に囲まれ、名湯も沢山ある長野県に年に数回癒やされに行きます。また、信州には美味しい郷土食や名物・名産が数々あります。その中でも私の好物は、郷愁を誘うスローフードとして親しまれている「おやき」です。
長野に遊びに行くと、必ず“駆けつけの一個”で道の駅などに寄り、その場でパクリと小腹を満たします。(笑)
「おやき」具材の定番は野沢菜や切り干し大根、小豆や空豆のあんこ。また、春にはフキ味噌や山菜、夏にはナス、秋にはキノコなど季節の手近な旬の恵を具にし、小麦粉・そば粉を練った皮に具を包みます。そしてお餅みたいにふっくら丸く焼いたおまんじゅうが「おやき」です。ただ焼くだけではなく、蒸かし・蒸かし焼き・炭焼き・揚げ焼きなどの調理方法があり、皮は厚くてモチモチしています。パンのように柔らかくふわふわで中にぎっしり具が詰まっており、中の具は素朴で初めて食べた時は何故か懐かしくほっこりとお腹にたまる感じです。ちなみに一番私の好きな具材は味噌ナスです。
最近はクリームチーズ・りんご・あんず・ポテトサラダ・キムチなどの変わり種まで工夫をこらして、各地の専門店・お土産屋・スーパー等の各店舗に並んでいます。
そもそも「おやき」の歴史には諸説ありますが、4000年前に作られていた、おやきの原型が長野県の遺跡から出土され、川中島の合戦でも食べられていたという記録が残されているそうです。もともとは、灰の中に埋めて焼いたりしていたとのこと、当初はそば粉や米粉で作られることが多かったようです。また、山に囲まれた急傾斜畑作地帯の長野地域において、主食の米を補う食材としてそば粉や小麦粉を使った粉食が日常食であった一方で、正月、お盆などの特別な日のご馳走でもあり、生活に欠かす事のできないものとして定着してきたもので、製法も具材も各地域や家庭により様々だったようです。
現在「おやき」を日常食として意識する人は少ないようですが、「おやき」が信州を代表するなじみの郷土料理の一つとして、これからも伝統を受け継いでいって欲しいと思います。
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