■ 「首都の位置」 ■ |
日本の首都が東京(江戸)になったのは家康が天下人となってからのことであるが、そこにはいくつかの偶然と英断も作用する。秀吉が小田原の北条氏を滅ぼしたとき、一番の功勲があった家康に褒章として関東を与えた。それまでの三河の本拠地に替えてということでは、ライバルを出来るだけ遠くに退ける意味があったことだろう。そのとき、小田原、鎌倉、東京のどこにするかは家康に判断をゆだねられた。家康が大部分湿地帯と浅海の東京を選んだのは賢明だった。背後に広大な関東平野を要し、良港を控える。しかも日本列島のほぼ中央にあり、冬の寒さも夏の暑さもほどほどである。冬の降雪はたいしたことはなく、晴天が続く。現代人の目から見てもここより首都としてふさわしい土地は他にないだろう。 |
(愚庵)
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