最前線シリーズ

 

次世代ディスプレイ

(株)マスコミ文化協会 川崎玲美
 
有機ELディスプレイと液晶ディスプレイの違い
 最近、「有機EL」という言葉をよく聞くようになりました。有機ELディスプレイ は2010年代より普及が始まり、2020年には、出荷台数が液晶を上回るともいわれています。
 はじめは、スマートフォンなどの小型端末向けが開発され、その後テレビ向けの大型パネルが開発されました。
 有機ELディスプレイと液晶ディスプレイの大きな違いは、バックライトの有無です。
 有機ELは、それ自体が発光するため、バックライトが必要なく、パネル単体でも透明な状態で使用できます。また、バックライトが必要ない分、薄くなるので、曲げることもできます。これまでも“透明”というと、透明液晶ディスプレイがありました。しかし、これは、バックライトが必要になるため、BOX型であることがほとんどです。有機ELディスプレイであれば、BOXなしで映像を見せることができます。
 液晶ディスプレイと比較したときに、デメリットとなることは、高価であることと、大きいサイズの製作ができないことなどがあげられると思います。
 サイズの制限はありますが、つなげて大きく見せることはできます。

見上げるほどの巨大ディスプレイ
 大日本印刷(株)の東京 DNP五反田ビル(東京都品川区)にあるショールームには、曲面の55インチ有機ELディスプレイを24(4×6)面並べて設置した、大型デジタルサイネージがあります。これは、大日本印刷が2016年10月に販売を開始した業務用有機ELディスプレイ「DNPマルチサイネージ トータルビジョン 有機EL曲面タイプ」を活用したものです。
 このディスプレイは、LGディスプレイ社製で、ベゼルが細いため、つなげて使用してもきれいに映像を見せることができます。頭上に覆いかぶさるように設置されたディスプレイで見る映像は、迫力満点です。

  近年、ドローンでの飛行撮影や360°撮影できるカメラなど、撮影技術も上がってきていますので、そういった映像とこのディスプレイを組み合わせれば、さらに迫力のある映像が楽しめるようになるのではないでしょうか。

展示会でも注目が集まった
 2016年6月に開催されたデジタルサイネージに関する製品・ソフト・サービスなどが紹介される展示会「デジタルサイネージジャパン2016」でも、多くのブースで有機ELディスプレイが紹介されました。有機ELディスプレイが展示された近未来的な空間には、常に来場者が集まっており、皆が期待しているのが見て取れました。

ディスプレイ以外の活用方法
 有機ELはディスプレイ以外に、照明としても使用されています。
 有機EL照明はLEDと違い、面発光します。さらに太陽光の波長成分に近いスペクトルをもつため、従来の照明を使用するより自然に見えるのが特徴です。
 事例としては、中部圏最大級の複合ビル「JPタワー名古屋」(名古屋市中村区)の共用フロア内パウダールームにミラー照明として有機ELモジュールが採用されています。 
 「働く女性のキレイとワクワクを応援します」をテーマに設置された、“キレイメークミラー”の中に内蔵された有機ELモジュールは、紫外線を含まない柔らかい光であり、様々な色の光を再現できます。「メークモード」と「カラーライトセラピーモード」があり、「メークモード」は、人の入室をセンサーで感知すると、ウェルカムカラー(ピンク)が2秒間点灯し、その後、就業時間帯(8〜17時)は太陽光に近い「自然光モード」に、夕刻以降(17〜20時)は飲食店舗などの照明に近い「アフターファイブモード」に自動的に切り替わります。
 「カラーライトセラピーモード」では、気分に合わせてピンク、ブルー、レッドの3色から照明の色を選ぶことができます。

  このように、次第に私たちの身の回りにも有機ELが増えてくるかもしれませんね。



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