植物とデジタル |
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(株)マスコミ文化協会 川崎玲美 | ||||||||||||
近年、植物とデジタルを融合させた演出が増えているように思います。デジタルサイネージの普及に伴い、もっと新しいことをしたい、と考える方々がいろいろなことにチャレンジしているのではないでしょうか。 今回は、植物とデジタルが融合した新しい事例を紹介したいと思います。 9面を円柱型に設置、堅苦しくない空間演出 2016年12月末、百貨店「プランタン銀座」(東京都中央区)が閉店し、改装後「マロニエゲート」として、2017年3月15日、新たにスタートを切りました。 「マロニエゲート銀座」は1から3まで3つのビルに分かれており、「マロニエゲート銀座2」のメインエントランスには、自然とデジタルが融合したディスプレイ「ハナドケイ」が設置されています。 ハナドケイは縦長のマルチディスプレイ9面をぐるりと円柱型に置き、正面には丸いデザインのビジョンが設置され時計を表示しています。時計の周りには生花が飾られています。出入口を抜ける風が花を揺らし、とてもかわいく仕上げられていました。お花にお水をあげるため、正面のデジタルサイネージは防水になっています。 「プランタン」はフランス語で「春」という意味で、お花に囲まれた百貨店として親しまれていました。「プランタン」のDNAを引き継いだ「マロニエゲート」も、お花で囲まれた場所にしたいという想いからこのデザインになったそうです。また、デジタルサイネージの堅苦しさをなくすため、四角いモニターをドンっと置くのではなく、あえてモニターの隙間を作って緑を飾っています。モニターの間や上部は造花です。 お花は季節によって飾る種類を変え、また、映像コンテンツもそれに合わせて変更するようです。 ネイキッドが実施したお花のアートイベント 少し前ではありますが、2016年1月8日から2月11日までの期間には、日本橋三井ホール(東京都中央区)で、映像制作などを行う(株)ネイキッドと、いけばなの日本最大流派である、いけばな草月流のコラボによる花のアートイベント「FLOWERS BY NAKED」が開催されました。 自然界の現象に数多く出現するフィボナッチ数列に見立てた会場内では、生花や映像、インタラクティブ、香り、飲食などを盛り込んだ、五感を使って楽しめる作品が、大きくわけて7つ展示されており、その作品のほとんどにプロジェクターを用いて映像が投影されていました。作品から作品へと続く、流れるような演出がすばらしかったです。 特に注目したい作品は、いけばなの日本最大流派であるいけばな草月流の家元である勅使河原茜氏とネイキッドのコラボレーション作品「植物の繭」です。
美しく活けられた生花に、幻想的な映像と光を掛け合わせ、植物の生命力を感じさせる力強い作品となっていました。大好評のうちに終了した「FLOWERS BY NAKED」は、2016年7月、2017年2月にもそれぞれ季節にあったテーマでイベントを開催しています。今後も大注目です! 対となるふたつのディスプレイ 2017年4月20日にオープンした商業施設「GINZA SIX」(東京都中央区)は、アーティストやクリエイターとのコラボレーションにより、様々なアートプログラムを展開しています。 今回、注目したのは、館内の2カ所(中央通り側と三原通り側の吹き抜け)にある、高さ約12mの壁面(リビングウォール)。ジェイ・ティー・キュー(株)の代表である谷川じゅんじ氏プロデュースによる、対となる2つのアート作品が展示されています。 ひとつは、日々の日没とともに様子を変えるデジタルインスタレーション作品を、チームラボ(株)が手掛けており、もうひとつは、植物学者兼アーティストのパトリック・ブラン氏による、日本に生息する固有種も含め、様々な植物を織り交ぜたアート作品です。 共通コンセプトは「“Life Circulation”生命の循環」。対となるふたつの空間インスタレーションをつなぐテーマは「大いなる循環」。
植物と映像で見せる空間演出をトータルサポート 植物の少ない都市生活の中で、人間と植物の関わりを考え、心地よく、良質な空間を想像していくことを理念に様々な事業を展開している(株)グリーンディスプレイでは、空間をより良くする「イマジカルスケープ」事業を進めています。これは、植物と映像、香り、音、照明などを駆使し、空間全体を演出するものです。 植物とデジタルの融合は、それぞれが別会社になってしまうため、実施はなかなか大変ですが、グリーンディスプレイではトータルで制作・管理を行うため、スムーズに制作を進めることができます。 植物はメンテナンスが大変でディスプレイとして使用するのが難しいですが、だからこそ魅力を感じるものに仕上がるのかもしれませんね。 |