ちょっとヒント・うちの会社では

 
『常識』と『良識』
    北海道支部 (有)共進工芸 鷲野龍二

 皆様が『常識』と思っている事は何でしょうか。恐らくほとんどの方が、自分で思っている以上に多くの『常識』を持っていると思います。常識とは、一般的に誰もが持つ、または持つべき知識や分別のことであり、狭義的にはその社会、業界で共有している知識です。
 難しいのは、看板業界と他業界の常識が全く違うという事、それどころか自分の会社と他社ですら、更に言えば同じ会社の同僚であっても常識が完全に噛み合う事は無い、という事です。
 私はこの業界に入ったばかりの頃、非常に驚いた事があります。現場で作業している際、上司や現場監督に話し掛けられると、その度に手を止めその人の方を向いて話を聞いていました。
すると「いちいち手を止めるな、お前の悪い癖だぞ」と注意されました。
 今までの会社では上司や他社の方から話をする時手を止めてその人の顔を見るのが『常識』でした。仕事がどんなに忙しくとも、です。
 同じ業界の人間であっても、それぞれ経験してきた業界が違えばこうも違うのだな、と思い知った出来事でした。
 この仕事をしていると、非常に多くの会社、業界の方々と一緒に働くことになります。建築会社、電気屋、設備屋、足場屋、デザイナーやその他全くの他業界の方まで本当に様々です。
 そしてそれら全てに、違った『常識』があります。
 同僚にも部下にも上司にも、培ってきた『常識』があります。
 他人の考えに触れて、素直に「そういう考え方もあるのか」と受け入れるのはなかなか難しい場面もありますし、それどころか自分の常識と思っている事を否定されるような事を言われたりすると「何を言っているんだこの人は」と思ってしまう事すらあるかと思います。
 そんな時に相手を『常識のない人』と断じて一蹴してしまうのではなく、本当に自分の常識は常識なのか、疑える心の余裕を持つ事で、自分自身のストレスも軽減できますし、円滑に仕事を進めるうえで有益であると思います。
 自分は人から見れば理解しがたい非常識な人間である、という事を自覚し相手の常識も尊重できる人が、たまにいる『誰とでもうまく仕事が出来る人』であり、『常識』よりも『良識』を持つ人なのではないかなと思います。
 皆様の頭を悩ませる理解できない人が身近にいる場合、あえてその人の身の上話でも聞いてみるといいと思います。その人がどうやって今に至っているのか、知って納得することでうまくいくかもしれません。



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