十二月の終わりに買っておいた本を、正月明け二週間ほどで読み終えた。毎年、その年の一冊目の本を大事にしている。最初に読む本が面白くないと、その一年がよい一年にならないような気がして、一昨年前だったかは、二十ページほど読んだ本を取り替えた。
今年の本は、好きな書き手のもので、最初から面白くないはずはないと目論んでいた。しかし、一月は慌ただしく時間が流れていく。どのタイミングでその本の中に入り込んでいくかが課題なのである。
そんな中、今年は新年早々にプライベートで東京へ出向く用事が出来(というより作ったのだが)、新幹線車中での集中読みという幸運な時間に恵まれた。
まぶしいほどの日差しを受けながら、好きな書き手の本が読めるというのは最高である。もちろん、車窓のカーテンを閉め、うたた寝タイムも付いていた……。
すでに三冊目に入った今年だが、仕事がらみの本を読む機会の増加とともに、本に対する思いが変わってきた。その類の本の場合、よく流し読みや飛ばし読みをする。文章そのものを楽しむことがない。
自分はそもそも言葉の表現そのものが好きだった。書き手の言葉の選択とその紡ぎ方によって、共感できる要素が高まると思ってきた。
一年の初めに読む本は、そういう自分のわがままが確認できる一冊でなければならないのである。
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