発信簿

 

縁を結ぶ神在月の島根より

  中国支部 (有)ちどり工房 勝部訓教


 旧暦の10月10日(今年は11月17日の夜から)、全国八百万(やおよろず)の神々が出雲の国に集まります。
 神々が出雲に集まるその間、全国的には神様が留守になる為、「神無月」と呼ぶのですが、私の住む島根では「神在月(かみありつき)」と呼びます。
 出雲に集まった神様は何をされているのか?といいますと、毎年同じ議題について「神議(かむばかり)」という会議をされております。
 その議題とは「すべてのものの縁を結びつける」事について。縁は「男女の縁」ばかりでは無く、人の縁、仕事の縁、お金の縁など、誰と誰をどのように結びつけるかをこの会議で決定するそうなのです。
 と、いうのが一般的な「神在月」についてのお話です。出雲は現在、年間800万人が訪れる日本有数の観光地ではありますが、実は出雲が賑わうようになったのは江戸時代からのようです。
 それ以前、出雲大社は全国的にもあまり知られていなく、御師(神職)は以下の知恵を出し、全国を布教してまわったそうです。
 その1: みんなから覚えてもらい易い「大黒様」をシンボルとしました。
 その2: 蕎麦預という現在の「蕎麦クーポン券」を蕎麦屋の初代が各地に配り、後に参拝者が蕎麦を食べる風習が広まりました。
 その3: 観光客限定の富くじを行いました。
出雲大社修繕に使う事で幕府の許可を得たのですが、発売後8日間で現在の価値で23億円の売上となり、富くじの抽選日も祭礼の最終日に設定した為、観光客もついつい滞在日数を増やさずにはいられなくなったそうです。
 その4: 「縁結び」
御師は様々なご利益を全国に持参しましたが、その中で一番好評だったのが「縁結び」の御利益で、江戸では全国の神々が出雲に集まり縁結びの相談をする絵も広まりました。
すなわち、ほぼ現在の販促に近い内容が江戸時代に行われていた訳です。

 情報は目まぐるしく変化し、インターネットを通じた情報も数多い現在ですが、我々が扱う看板はリアルな実社会で販売促進に有力なツールであり、これから先もきっと役割は変わらないと信じております。
 もっと沢山の仕事に触れ、この仕事を通じてこれから先、皆様との縁が益々拡がっていく事を神在月の島根からお祈り致します。


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