2014年2月初頭、スーパーボウルのロケでぼくはニューヨークにいた。生まれて初めてのニューヨークだった。ニューヨークのタイムズスクエア、ブロードウェイ、ウォール街を歩いた。タイムズスクエア周辺には、日本では見ないようなド派手な広告モニターがひしめいていた。
広告からは、
「夢を叶えましょう!」
「常にチャレンジしましょう!」
「やりがいのある仕事をしましょう!」
と、絶え間なく耳元で言われているような気がした。もしも「無理したくないんだよね……」などど言おうものなら、目の前で両手を広げられて「Why?」と言われそうだ。
ニューヨークはどこに行っても金とアドレナリンの匂いがした。
名所に行くと、入場する前に必ず係のアメリカ人に「Let s enjoy!」と言われ、握手やハイタッチを求められた。それが、ぼくの心の中に僅かに存在する「エンジョイしたい」という気持ちをことごとく粉砕した。
|