図書館で時折仕事をする。作業としては、本はもちろん、書類・レポートなどを読み込んでいたり、書い(打っ)ていたりしているのだが、図書館の空気感はなんとなくそれらの行為と馴染むので好きだ。財務的な書類なども図書館の空気の中では数字ゲームのような感覚が生まれ、ああすればこうなるなあとか、前向きな試算(早い話、数字遊びだが)につながるから面白い。
もともと、図書館にはとても親しみを持っていて、将来は小さな図書館の館長になるのもいいなあと勝手に思っていた。それも、街なかの近代的な図書館ではなく、山里にひっそりと佇むというのがよく、本を持ってデッキに出ると、そこから北アルプスの山並みが見渡せるような図書館がいいと考えていた。夕日を受けるガラス張りの図書館というのもいい…。しかし、根本的に「将来」というものが非現実的になってきたことは否めないので、一応ここだけの話にしておく。
今年の春まで、ある町の図書館のアドバイザーみたいなことをやってきた。長年、その町の二つの図書館が関連する文化事業(出版・美術展など)を手伝ってきたが、楽しい仕事だった。しかし、同じ環境の中で、もう新しいアイデアを活かせる自信がなくなった。司書の人たちからは慰留していただいたが、距離的なこともあり決めた。あたたかい人たちばかりで申し訳ない気持ちが強い。
人口減や合併によって、地域では学校がなくなっていく。当然学校図書館もなくなり、さらに自治体運営の図書館も減らされるかもしれないという現実がある。思うのは、母子が、陽だまりの中で絵本を見ている光景など、やはりなくしてはいけないだろうということである。
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