リポート

サイン&ディスプレイショウで見る業界の流れ
関東甲信越北陸支部 (株)東京システック 小野利器
 
 サイン&ディスプレイショウの歴史は長く、第1回目の開催は昭和33年にまで遡り、今年で第61回目を迎えました。主催は東京屋外広告美術協同組合で、今年もサイン・ディスプレイの製作や施工に必要な資機材等の関連商品を扱う130の企業が出展していました。私がこの業界に入ってから17年余りが経ちますが、その間ほぼ毎年展示会には足を運んできましたので近年の傾向を少し述べさせて頂きます。多少的外れな部分は何卒ご容赦ください。
 17年前は業界初心者でしたので、ジャパンショップと記憶が混同もしており、「うわぁ何て活気のある展示会なんだろう」というぼんやりした印象でしたが、たしかLEDやステンレスの箱文字、樹脂文字がまだ出始めの頃でした。それまでは箱文字は亜鉛引鉄板製で、その中に仕込む照明はネオンでしたが、LEDや樹脂文字の登場で一気にサインが小型化し、表現も豊かになっていきました。LEDが出始めの頃はモジュール式のものがなく、基盤をオーダーメイドしてサインに仕込むという今では考えられない製作もしたものです。それからは様々な形状のサイン用モジュールが開発され便利になりました。一方で樹脂や箱文字にLEDを仕込んだ発光サインも数多く市販されるようになり、自社製作いらずになりました。また小型化したLEDモジュールを利用した導光板サインも薄型化への要望に応えるべく進化してきた商材でしょう。大型看板はネオンや粘着シートから出力機による印刷物が主流となり、プリンターはより綺麗で大判で耐候性のあるものが毎年しのぎを削るように登場した記憶があります。過去最も出展社数が多かったのが平成18年から20年であり、やはりその頃が最も活況があったのではと感じます。
 ではここ最近はどうかといいますと、出展社数は減ったものの来場者数はさほど変わりはないという印象です。
 数年前から車両ラッピングに関連した商品が目立ち、デモンストレーションの前には多くの来場者が熱心に貼り技に見入る姿があります。LEDモジュールに遅れること登場した蛍光灯型のLED照明器具は、一時多くのブースで見ることが出来ましたが、いまや目玉商材ではなくなった感じを受けました。LEDビジョンやプロジェクションマッピング関連商材は6月に開催されるデジタルサイネージジャパンへと出展の場所を移したようで、本展示会ではあまり見ることが出来なかったのは残念です。
 また、かつては箱文字や樹脂文字といえば大手数社が開発力で先を走っていましたが、今では製造設備をもつ企業の出展が増え、低価格短納期を売りに競争が目立ちます。やはり屋内外ともに立体文字サインのニーズは底堅いようです。
 プリンターはというと、ルーターや3Dプリンターともに明るくない私としてはコメントを差し控えますが、立体彫刻や布などに印刷できる機器が目に留まり、従来のサイン・ディスプレイから他分野への裾野の広がりを感じました。
 昨年に比べて断然変わった点はネオン風LEDの取扱いの多さです。今までネオンモドキとして冷ややかな視線を注いでいた私としては意外でしたが、デザインのニーズが増えてきている現われではないでしょうか。ネオンは高圧だし技術者も要るし職人は減ってるとなれば、手軽に施工できてムラなく発光するLEDへと流れるのは当然でしょうが、今後ネオンが本物嗜好を求める人だけのアイテムとなるのは寂しすぎます。すみません最後は自分の思いの丈を吐露してしまいました。
 さて、このサイン・ディスプレイ業界は今後どのような展開となってゆくのでしょうか。未来予測はなかなか難しいものですが、その変化の流れを感じるとる手段として展示会に足を運ぶことも一考だと思います。
 来年2020年のサイン&ディスプレイショウ開催は東京オリパラ大会の関係で10月1日〜3日の開催となります。


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