石川県の某町でブランド米づくりのお手伝いをしている。田植えをしたり、草取りや刈り取りなどを手伝っているのではない。ブランド米になるためのさまざまな仕事のうち、農家の皆さんには手に負えない部分を代行している。今はネーミングからロゴやパッケージ類のデザインをまとめている。この文章が読まれている頃には、もう地元を中心にして市場に出ているだろう。ただ、収穫量は少なく、一般には簡単に口に入らないのが現状である。ブランド米にするということは、収穫量を増やす、つまり生産者を増やすということでもある。
元来が神々しく奥ゆかしい背景を持った特種な米であり、味は良いが育成がむずかしいらしい。しかし、何人かの生産者たちがブランド米づくりに立ち上がった。その人たちの熱意には重いものを感じる。
このプロジェクトを引っ張るのは、地元の神社の宮司さんである。米の名前は「みくじ」という神事で決められた。私も含め周辺の人たちが出し合った、三十ほどの候補の中から引き抜かれた紙縒りの中のひとつが、正式な名前になった。立ち会ったその瞬間には鳥肌が立った。しかもその名前は、まさに神様からの授かりにつながった。実はこの米はもともと奇跡の米とも言われていたが、どこかその呼び方に通じる出来事だった。
地元女子高校生の早乙女たちによる稲刈り神事も無事終了。初秋の青空の下で、彼女たちの笑顔がこの米の未来を予測させるかのように弾けていた。これからこの米は日本酒にもなる。仕事も本質部分へと入っていく。
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