ある事務所で見た光景だが、スタッフの何人かが電話で話す際に席を立ち、そのまま事務所から出ていく。もちろん携帯電話の場合であって、固定電話では座ったまま話している。不思議に思ったが、これは電車の中などで注意を喚起される、現代人のクセというか習慣みたいなものと繋がっているのかもしれない。
しかし、そこまでしなくてもいいのではないかと思うほどに、よく席を立っていく。最初は何となくどうしようかナといった雰囲気で立ち上がり、机の周辺をうろうろする。そして、少し話が長引きそうになると、もう間違いなくドアの方へと歩き出す。
その事務所にできた特有の空気なのだろうと思う。それは、常に事務所というのは静かに仕事をする場所なのだということを強制しているようにも見える。かつては、電話が鳴りっぱなしで、やや大きな声で商談する雰囲気が、活気に満ちたいい事務所みたいに思われていたようだが、今はそうではないのだろうか。
ところで筆者は、電車の中で普通に電話による会話の声が聞こえても、それほど気にはしない。もちろん大声を張り上げたりされるのは問題外だが、普通に会話しているだけだと、となりの席の人と話しているようなものだ。だから、ほとんど気にならないと言っていい。
会社の事務所の中もそれに近い。そもそも携帯電話は、あの着信音がまずうるさいのであって、あれが突発的に発せられるところから不快感が始まるのである。それに輪をかけて大声で話したりするから否定される…。こんなストーリーではないだろうか。そう考えると、まずはマナーモード、そして普通に話す。この習慣づけで充分席を立たなくてもいいように思うのである。 |