私は関東ネオン業協同組合の広報委員会に所属しており、日本サイン協会のFacebook管理者のお手伝いもさせていただいてます。そのコンテンツの中の「街角プチネオンコーナー」は広報委員会が発案した企画で、街なかの可愛らしい小型ネオンサインを見つけてみては投稿しています。かつてのような頭上の巨大広告には使用されなくなったネオンですが、足元の店頭を彩るワンポイントとして秀逸なデザインのネオンは数多く、皆さんにも是非注目してもらいたいと思っています。
さて、その協会Facebookにまつわるエピソードを一つご紹介したいと思います。
先日、私は東京都内の飲食店に据えられた小さなネオンを投稿しました。そのネオンは残念ながら割れていて半分が消えていました。しかしデザインは面白いと感じたので投稿をしたところ、すぐにある読者さんから「故障しているのに通電している状態は非常に危険です」というコメントを頂きました。私は即座に仕事仲間に聞いてみたのですが、火事になりかねないと言われました。撮影したのが3カ月も前でしたから、私はその状況を店のオーナーに指摘もせずに放置していたことがだんだんと心配になってきました。コロナの自粛でお店は休業しているかもしれないけど、翌日現場を確かめに行くつもりでいました。一方、ご指摘いただいた読者さんとは面識がなかったのですが、昨今はSNS上の書き込みによるトラブルが社会問題化しているため、お互い配慮しつつ2、3コメントを交わした後に、私は投稿を一旦削除し、床に就くことにしました。
しかし話はそこで終わりませんでした。1時間も経たないうちに、その読者さんから再びメッセージが届いたのです。驚いたことに、そこには深夜にも関わらず割れたネオンを現地まで確かめに行ったという報告が写真とともに記されていました。ネオン管は既にお店側で修理されていたらしく、念のためテスターで点灯確認も行ったようです。一瞬どうしてそんな展開になったのかと頭の整理がつきませんでした。何しろ私が記事を投稿してから僅か2時間の間での急展開でしたから。そんなことをぼんやりと考えながらその日は寝入ってしまいました。そして翌朝、もう一度メッセージを読み返すとこう書かれていました。
「余計なお世話と解りつつ…(中略)ネオンを後世に残さねばならないと思う気持ちと、曲げ屋としての誇りと名誉のためだとお考え下さい。」
巷では故障したネオンの放置をたまに目にします。質の低い施工技術も見受けられるとも聞きます。確かに特別な資格や技術の要るネオンは今の時代では敬遠されがちです。だからといってその技術をないがしろにして事故でも起きればネオンのイメージは低下します。それは私たちの誇りであるネオンの仕事を軽視することでもあるのです。そんなことを考えさせられる一つの出来事でした。
私はネオンの技術者ではないため、写真を撮ったり広報誌に投稿することしか出来ませんが、ネオンに魅せられ、後世に残したいという気持ちは同じように持っているつもりです。きっと協会員やNEOSの読者の皆さんも同じ気持ちだと思います。
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