ちょっとヒント・うちの会社では

 
楽しい仕事
    関西支部 (株)生駒工業所 高橋 亨

 当社は昭和38年創業以来、屋外看板の下地鉄骨製作を専門に業務させて頂いており、看板鉄骨製作工場では数少ない国土交通省鉄骨製作工場性能評価Jグレードを取得し、規模や種別によりますが業務の一貫性を信念におきまして、物件を担当するものが打ち合わせ、施工図作成、工場施工、運送や現場建て方まで業務する多能工化を実施しております。
 普段はビルの屋上に建てる大型の広告塔や、壁面看板やパナグラサイン、自立建植サインなどの鉄骨を製作したりしているのですが工場の立地上、周りが田畑というところもあって農家のおっちゃん達のクワや農耕器具の修理などもあります。
 ある時、すごく困った顔で見えたおっちゃんの「ちょっと溶接してほしい〜」との依頼を受けて、ススだらけの廃油ストーブの部品を修繕した時の事ですが、お店で修繕しようものなら、sなんと10万円ほどかかかるとの事。おっちゃんはお金を渡そうとしてきますが、ひび割れ部の細いパイプの補修溶接(作業時間10分)に、修繕費を頂くのも心苦しく、しばらく押し問答の末、おっちゃんは「ちょっと待ってて」と、軽トラで立ち去り、再び戻ってきた荷台には野菜の山でした。
 社員全員で美味しくいただきましたが、量が多すぎてご近所さんにもおすそ分けしましたけれど。
 コロナ禍の影響もあり出荷しても売れないのだそうです。「また頼むわ〜」と帰っていくおっちゃんの言葉にまたって?(笑)と思う気持ちと、仕事を始めた頃のやりがいや達成感を思い出しました。
 入社した当時、鉄工所には必ず原寸場という大きなスペースのある部屋があり縮尺1/1、原寸(=本物の大きさ)の図面を書いて納まりや寸法を検討していました。私も原寸作業を父と一緒にしていましたが今じゃ考えられないくらいの時間も労力もかかっていたのを覚えています。
 時代の流れやCADなどの普及により今では原寸場は事務所へと変わりましたが、そういった昔の経験も踏まえて物を作る事が楽しいと、歳を重ねるにつれ実感するようになりました。
 私は人にも恵まれており、社員の中に幼稚園からずっと一緒の友人もいます。彼は社内のムードメーカーでもあり、プライベートでも趣味のボートフィッシングに勤しんでおり、自作でジグ(鋼製のルアー)も作るクラフトマンです。彼もまた物つくりが大好きで、こんな楽しい仕事はないと言っています。
 仕事が楽しいというのは必ずしも仕事が楽という意味ではありません。私自身が楽しいと感じる理由はやりがいや達成感、周りの環境や人間関係に恵まれているからなのだと思います。
 仕事の量や大きさに関わらず精進し、個人を、家族を、地域を大切にしていく事で5年後10年後も楽しい仕事と思えるように努めていきたいと思います


かなり年代物の廃油ストーブ



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