全くつまらない表現ではあるが、人を育てるというのは簡単ではない。そして、もうひとつ言いたいのは、“人を育てる人”を育てるというのもむずかしい。
特に後者に至ってしまった段階でのむずかしさはかなりハイレベル(重症状態)になっていて、取り返しがつかない段階と言ってもいいかもしれない。
あるスキルのプロフェッショナルを育てるという時、若手(新入社員でもいい)のうちにインプットした方がより短期間で、よりフォーカスされた使い手になることはまちがいない。しかし、その際に大事なのは、理想像や実践的な成果などをしっかりと認識させておくことであると思う。
そして、その認識こそが“人を育てる人”が持たなければならない大切なことと言える。しかし、育てる側の人たちが仕事の客観的な目的などを見失っていたりすると、教える要点などもずれていく。何を習得させるかという基本的な部分で、大きな間違いをしてしまうのである。
一定レベルの教育を受けた者であれば、一年でほぼプロフェッショナルになれると思っているが、要は目的に合った経験や体験をさせることであり、その成果を、段階を決めて予め明確にしておくことであると思う。
新卒社員の営業マン向けの講座などで、よく「断られることに負けない」といったことが言われるが、ダメな育て役(上司)は、断られる以前に出向くことに億劫になっている傾向が強い。だから、断られるという経験すら乏しい。そんな意味で、自分に都合のいいスキルだけ身に付けた育て役の存在には、注意しておく必要がある。 |