国内外から注目を集める佐藤可士和展 |
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大勢で活動しにくい世の中になってしまいました。この機会にひとりで美術館や展覧会に出向くことにしています。 先日、国立新美術館へ楽しみにしていた「佐藤可士和展」を訪れましたので、作品や可士和氏についてのお話をしたいと思います。 佐藤可士和氏は広告デザインだけにとどまらず、経営戦略や企業ブランディングを手掛けるプロダクトデザイナーとして知られており誰もが目にしたことのある広告や看板を制作しています。SNSがまだ存在しない時代に町中に広告キャラバンを打ち出して新聞・雑誌・テレビを巧みに利用して話題をさらったのは2000年SMAP10周年アルバムプロジェクトでした。可士和氏独立後初仕事となりました。 国立新美術館のロゴも可士和氏の仕事です。30年ぶりの国立美術館ということで2007年当時かなり話題になりました。デザインコンペはThe National Art Center, Tokyoの頭文字NACT(ナクト)を案にとりいれるという事で競われたそうですが、可士和氏はあえて漢字の「新」をシンボル化したことで強いインパクトと海外にも発信できる日本の美術館としてのメッセージを強く打ち出しました。みごとなデザインです。 可士和氏の代表的な作品のひとつにユニクロのサインがあります。今や世界中の人達の目に触れているであろうシンプルかつ分かりやすい看板です。ユニーク・クロージング=UNIQLOをグローバルブランドとして発信してほしいと柳井正社長から2006年に話があった際に“日本では海外のブランドや外来語はカタカナで表現するのだから、海外に進出するならカタカナでサインを作ろう!と思った”と言っています。最終的に「ユニクロ」「UNIQLO」の2つのサインを並べるダブルサインという独特の形になりました。赤い正方形に2文字ずつ2行に、3文字ずつ2行に並べるという意外で斬新なアイデアは流石だとクリエーター達も感心させられました。4文字をあえて2行にするという感性は“読んでもらう”という意思はなくマーク・符号・図案としての意味をより強く感じるサインです。こういうことがサインのグローバル化なのか!と思わされました。 佐藤可士和氏の作品のなかで「赤」を大胆に使ったものが多くあると感じます。楽天の「R」もそうです。 可士和氏のビジュアルを拝見すると、はっきりしたヴィヴィッドな色が似合うタイプで曖昧な柄や優しい色だけのコーディネイトよりシンプルで斬新なコーディネイトが似合うタイプだと思います。世界中の美術・工芸・建築・写真・デザインに多大な影響を与えたドイツの美術学校バウハウス(1919-1933)の色彩論教授ヨハネス・イッテンは“自分に似合う色を使って成功していく人が多い”と生徒や卒業生を見て語っています。そして現在“似合う色を着ることは脳を高揚させ、幸せホルモンであるオキシトシンを増やす”という事が実証されています。 ちなみに「赤」は、情熱的・躍動的・先駆的・現実的などの心理的意味があります。 可士和氏の仕事ぶりにぴったりなイメージで大変興味深いです。情熱的で大胆な「赤」色の作品で成功されている可士和氏の活躍は、イッテン教授の考察を証明しているようです。 |